↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

124/143

♰♰♰ ばっちこーい!! ♰♰♰



夏樹はバランスを崩して横に倒れそうになったのを荷台の横のあおりを掴んだおかげでなんとか体を持ち直したが、ラグビー部員のゾンビ達が次々とトラックの横を飛ばされている光景が目に入った。


「いきなり何よこれー!!」


大砲人間のように宙を高く舞ったラグビー部ゾンビは荷台の真ん中にいる麻子と夏樹と真由がいる所へと落ちてこようとしていた。3人は悲鳴をあげる暇もなく、お互いに身を寄り添ったが、3人の前に突如、野球部のユニフォーム姿の少年が大根を構えて立ちふさがった。


「よっしゃー!!ばっちこーい!!!!!」


野球部の少年は大根を振ると荷台へと落ちてきたラグビー部ゾンビの頭に大根が当たった。ラグビー部ゾンビの体は横に吹き飛ばされて地面へと落下するとトラックの後ろのタイヤに頭を挟まれて、頭は潰れたスイカのように割れた。


「おっしゃああああヒットゴロッッ!!!」


野球部の少年がガッツポーズを天高くあげた。


 副部長は隣の窓越しからトラックに跳ねられて宙を舞って地面に落ちてくるラグビー部員のゾンビの眺めに感動と興奮とスリルを感じていた。


「すっごーい!!私達って無敵に素敵ッ!」


だが、一匹の車に跳ねられて宙を舞っているゾンビと窓ごしで目があった途端、そのゾンビラグビー部員は片手で副部長の横にあるサイドミラーを掴み足は地面にひきずらつつも地面に落下するのを防いだ。


副部長は慌てて窓を閉めた。だがゾンビは次に空いている方の片手で副部長が今覗いている顔の前にある窓ガラスを叩いた。副部長は驚いて思わず体を後ろに逸して隣にいる豊田の肩に当たってしまった。豊田は体制を整えようと前を向いたその時、車に跳ねられたラグビー部ゾンビがまっすぐにフロントガラスへと飛び込んで来るのが目に入った。


「危ないっ!」


ラグビー部ゾンビの顔が当たったフロントガラスが割れて車内に飛び散るガラスを避けようと豊田は両腕を顔の前に出した。割れたフロントガラスからラグビー部ゾンビの顔だけが車の中に入った。

部長はワイパーを動かしてラグビー部ゾンビの顔をどかそうとしたのだが、ワイパーのスイッチを押すよりも早くラグビー部ゾンビに二つのワイパーを掴まれてしまった。


豊田は下げていた顔をゆっくりと上げた。するとフロントガラスに顔を突っ込んだラグビー部ゾンビの顔が豊田の鼻の先にあった。ラグビー部ゾンビは口を大きくあけ何度も人間の肉を喰い付くしてきた証の血に染まった牙を豊田に向けた。



 部長は例え隣に座っている豊田や副部長が危機にあっていてもトラックを運転するハンドルを離すわけにはいかない。あと数メートルで車を右に曲がらなければならない。そうすれば後はまっすぐに進むだけで皆と学校を卒業できる。流石に曲がる時は速度を減速するものだが、部長は速度を少しでも減らしてはだめだ。むしろゾンビに追いつかれない為に自分達はもっと早く走る必要があると考えた。ついに曲がり角が見えてきた。


「つかまって!」


皆が部長の言葉を耳にするのを待たずに部長はハンドルを回した。加速するタイヤに地面から白い煙が出ていた。部長は角を曲がるのに減速もせずに曲がるドリフトを決めた。


曲がる時に速度以上の遠心力が加わり、車にしがみついていたラグビー部ゾンビ達は遠心力に振り回されサイドミラーに捕まっていたラグビー部のゾンビは窓ガラス越しに中にいる副部長を捕食しようと何度も窓を叩いていたが、いきなり車が高速カーブをしたために遠心力に振り回されて片手が窓ガラスから離れてサイドミラーにつかまった。



※※※



 フロントガラスに顔を突っ込んだラグビー部員のゾンビは目の前にいる餌である豊田を食べようと牙を向けたらいきなりドリフトをされたがフロントガラスに顔を突っ込んでいるおかげで車からなんとか振り落とされずに済んだ。だが、その隙を豊田は見逃さなかった。


体を後ろに逸れると足の爪先を高く上げてゾンビの顎に蹴りを入れた。顎をおもいっきし蹴られたゾンビの頭が上がると頭上にあるバックミラーに頭が激突してゾンビは思わずワイパーを持つ手を離してしまった。


部長はそれを見逃さずにワイパーのスイッチのオンを押し、二本のワイパーが同時に左に動き出すとゾンビの首にワイパーが強く当たり、左に首を押されてゾンビの首は割れたフロントガラスの鋭い破片にあたるとぐいぐいとワイパーに押され、ゾンビの首が割れたガラスの鋭い破片に押し込まれ、ゾンビの首から血が噴水の如く飛び出てまるでギロチンの如く首が切断され、ゾンビの首は豊田の膝の上に落ちた。


首から下だけになったゾンビの体は後ろに仰向けに倒れてしばらくはボンネットの上に乗っていたがやがて激しい車の振動によってずるずると下に転げ落ちていき、車の下にへと消えて行った。ゾンビの生首は豊田の膝の上で口をパックマンのようにぱくぱく開けて首だけでも餌に食らいつこうとしていた。


「いらねぇよ!こんなもん!!」


豊田はゾンビの生首を部長の膝に乗せた。


「私だっていらないわっ!!」


部長はハンドルを握っていない片手で生首を豊田に向けて投げるつもりが豊田がよけて生首は副部長に向かってきた。副部長は自分の顔の前に来たゾンビの生首を咄嗟に両手でキャッチすると首だけのゾンビは副部長に向けてウィンクをした。


「うぇー!!可愛くないっっっ!!」


副部長はウインドウを下に降ろすとサイドミラーにしがみついているゾンビの顔面にめがけてゾンビの生首を投げつけた。ゾンビはサイドミラーを掴んでいた手を離してしまい生首ゾンビごと地面に落下していった。やっと少しは落ち着いてもいい頃になると豊田が興奮ぎみで早口になって部長を褒めた。


「すごいなあんた!まだ仮免許を取ったばかりだと言っていたのにいきなりドリフトを決めるなんて!」

「ドリフト?何ソレ?私はただ、減速したくなかっただけ。」

「マジかよ・・・」


部長はワイパーを動かしたままウォッシャー液を噴射させてフロントガラスにこびりついたゾンビの血を清掃した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。