♰♰♰ プリンキュアちゃんと共に ♰♰♰
黒川の叫びが保健室に響き渡り、黒川達より先に保健室に入っていた上社がすぐさま入り口付近にいる黒川達の所へとかけよった。入口付近でひとみ先生ゾンビに足首を噛まれて床に崩れ落ちている丸之内と丸之内の体を支えながら床にしゃがみこんで何度も丸之内の名前を呼んでいる黒川にあまりにも突然の事に唖然としている神宮西がいた。
ひとみ先生ゾンビは次のターゲットに床にしゃがみこんで何度も丸之内の名を呼んでいる黒川の腕をぎゅっと掴んだ。黒川はひとみ先生ゾンビ先生に抵抗する気力も残されてなかった。ひとみ先生ゾンビは口を大きく開けて鋭い牙を黒川の腕に刺しにかかった。
だが、その時黒川の腕が後ろに引っ張られてひとみ先生ゾンビの牙が大きく逸れた。神宮西が咄嗟に黒川の腕を掴んで引っ張った。後から来た上社も黒川の制服の首元を掴むと上社の背後からも二本の手が伸びてきた。池下とみきの片手も黒川の腰や腕の制服を掴んで引っ張った。
1人対4人じゃあ向こうの軍配が上がってしまう。焦りだしたひとみ先生ゾンビはさっさと黒川を噛んだ方がいいと最後の気力を振り絞って牙を黒川の腕に向けた。
その時、床に倒れていた丸之内が起き上がり、丸之内はお尻のズボンのポケットの中に収まっていたプリンキュアちゃんのフィギュアを取り出した。丸之内はプリンキュアちゃんのけなげな微笑みを浮かべる顔をいとおしげに見つめた後で呟いた。
「友情のためだ・・・」
丸之内は手に持ったプリンキュアちゃんのフィギュアの頭をひとみ先生ゾンビの目玉に向けて突いた。ひとみ先生ゾンビの片目にプリンキュアちゃんの頭部が埋め込まれると目玉が水風船のように破裂し中から血が溢れ出した。
丸之内はさらにフィギュアを奥に突き刺すとついにプリンキュアちゃんはひとみ先生ゾンビの脳みそまで突いた。ひとみ先生ゾンビはようやく黒川の腕を掴む手を離したのを見て安堵したのか丸之内は絶命した。
金山先生という餌が残り少なくなってきて飢えてきたゾンビ達が倒れているひとみ先生ゾンビと丸之内に近寄ってきた。
「コウちゃん!起きなきゃ!ゾンビに食べられちゃう!!寝ちゃあ駄目だッッ!」
黒川が何度も丸之内の頬を叩いて丸之内を起こそうとした。けど、何度強く叩いたとしても結果はすべて同じだった。神宮西は痛々しい黒川を見ていられない気持ちになった。
「行こう。ゾンビ達が金山先生を食べきっちゃったら次は私達を食べにきちゃう・・・。」
「でっ!でも!コウちゃんが!コウちゃんが!!」
黒川が動揺しながら丸之内を指していた。丸之内は床に倒れたまま動かなかった。
「丸之内が黒川に『行けっ』て言っているのっ!」
黒川はもう自力で保健室に入れそうにないようだから皆で黒川を引っぱって黒川を無理矢理に保健室へと引きずり込んだ。丸之内を除く全員が保健室に入ったのを見た名城が保健室のドアを勢いよく締めて中から鍵を締めた。黒川の表情はまだ丸之内を置いて行っていいのかわからない表情をしていた。
神宮西は保健室のドアについている長方形の窓ガラスから廊下を覗いた。金山先生はもう肉を残さんばかりに食べつくされて腸もゾンビの遊び道具にされていた。金山先生の肉を食べつくしたゾンビ達は次に丸之内の肉へと向かいだしたのを見て神宮西は廊下から視線を逸した。上社が扉に背をもたれて一息ついてから言った。
「ふぅーひとまず一難は去ったか・・・・。」
「そうか?次の課題が俺達を待っているぞ。」
そう言って名城が指した先を皆で見た。窓ガラス越しから腹をすかせたゾンビ達が保健室に入りたがりそうにこっちを見ている。みきは無言のまま座り込むと胸ポケットの中からスマホを取り出した。
「これがテストに出てくるとわかっていたらいっぱいプロテインを飲むのに。」
みきがそう呟くとスマホのシャッターを押して青ざめた自分の表情を自撮りした。




