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♰♰♰ 武器はまだるある ♰♰♰

「さーてと、次のお前達の課題を決めてやらないとだな・・・」


金山先生は周りを見渡した。後ろを見ると職員用玄関で生徒達に騙されて下駄箱の下敷きになっていたかつての同僚達が這い上がって餌が大勢いるこっちへと向かって廊下を歩いて来ている。前を向き直すと黒川達の背後にいる体の一部が欠落しているゾンビの生徒達が餌を求めてこっちへと近寄ろうとしている。


いつの間にかゾンビ達に挟まれていた。金山先生は舌で口を舐め回すと手に持っている金属バットを恭一の首元に置き、ポロシャツの胸ポケットから取り出した物を黒川に向けて投げた。黒川はいきなり金山先生に投げつけられた物を両手で受け取ると何が飛び込んできたのか確認した。


「鍵???」

「スマートキーだ。駐車場まで行って左の列の奥から3番目に俺の車がある。そこまで行って俺の車に乗って職員室用玄関までこい。」


黒川は金山先生から受け取ったスマートキーを手に持ってしばらくじっくりと見つめるとようやく顔をあげた。


「でも、先生。俺は武器なんて持ってないですよ。この廊下にもゾンビがいますし、校舎の外はゾンビがいっぱいいるかもしれません。駐車場に向かうまでに俺はゾンビにやられちゃうかもしれませんよ。」


黒川はあざとらしく媚びへつらう姿勢を取りつつも金山先生に反撃できる武器を取り替えそうと企んでいた。そんな企みはもうバレているだろうが、何も持たない黒川が金山先生の車を取りに外へ行けば圧倒的に数が多いゾンビに確実に殺されてしまうだろう。


車のキーを持っている黒川が離れた所で死んでしまえば車に乗る計画が駄目になってしまい困るのは金山先生の方だ。誘いに乗って黒川に武器を与えてくれれば外へ出た後で金山先生が見えない所で反撃のチャンスを狙う事ができる、黒川は博打を打った。金山先生はしばらく黙り込んだ後で手をわずらわされた事に大きく舌打ちをした。


「武器がなくても囮を使ってゾンビの注意を自分から逸らせばいいだろ。」

「囮?囮なんて持ってない。」

「お前の友達がいるじゃないか。」


金山先生はバットを恭一の頭から離すとバットの先で倒れたままの丸之内を指した。


「そんなっ!コウちゃんはまだ生きているのにっ!」

「先生に従わない役立たずはこの先生きていてもしょうがないだろっ!」


金山先生はポケットから取り出した木工用ナイフを黒川の足元へと放り投げた。


「さぁ!それで丸之内をやるんだっ!まずは肉がやわらかそうなその腹から!!」

「できないっ!生きている人間だろうが!ゾンビだろうが!」


黒川は床に落ちている木工用ナイフを受け取ろうともしない。


「そうか。そうか。ならば先生が手助けをしてやろうじゃないか。」


金山先生は床に落ちた神宮西が捨てたゴキブリ退治用のジェットスプレーとアルコールランプを拾うと二つの武器を床にいる丸之内に向けて構えた。


「これから数を数える。十秒以内に先生のお前らの誰でもいいから丸之内の肉を切り惹け。じゃないと代わりにコイツで丸之内を火だるまにするぞ。」


ついに最終通告が告げられた。黒川達の顔がまるでゾンビ達のように青ざめて行った。

丸之内を殺るべきか、金山先生に逆らうべきか、どっちを選んだとしても黒川達が進む道は地獄しかない。


「さあ、数えるぞ。10・・・・9・・・・8・・・・どうした?さっきのコイツを助けようとした勢いは?先生にはこのクズを助けるのは気がしれん。クズ共はあの化物共に消して貰った方が世の為だ。5・・・4・・・・」


神宮西は黒川に視線を向け、どうしたらいいのかわからない顔をしていた。反撃のチャンスを伺おうとしている名城も策が見つかなくって焦っている。


「さぁ、迷っている間に時間はどんどん過ぎてくるぞ。3・・・2・・・」


黒川は丸之内を見た。すると丸之内は黒川に向けて優しい笑顔でうなずいた。


「1・・・・」


丸之内の口がかすかに動いた。声には出さなかったが、「いいよ。」と言った丸之内の心の声が親友である黒川には届いていた。


「いいですよ。先生。」


その言葉を待っていたと金山先生は非常に満足した笑みを浮かべた。神宮西は隣にいる黒川を見た。黒川は首を横に降って言ったのは俺じゃないと表情で神宮西に伝えた。黒川は名城を向いたが名城も眉を潜めていた。黒川は声がした後ろを振り向いた。


「でも、先生はひとつ武器を見逃していますよ。」

「なんだって?」


金山先生の顔が疑問で歪むと目の前に何か物が飛び込んできた。飛び込んできた物は金山先生の顔面に当たり、頭が後ろに逸れた。その隙を狙って倒れていた恭一は横向きの体制のまま片足で金山先生の膝の裏に蹴りを一発入れた。


金山先生はバランスを崩して手に持っていたチャッカマンとゴキブリ退治用スプレーを手放して前に倒れた。倒れた金山先生の足元の横には先程、金山先生の顔面に飛び込んできた上社がいつもかぶっている妙なヘルメットがあった。


「この変なヘルメットは本当に武器だったのかっ!!!」


めずらしく名城が驚いて声を叫んだ。


「だから僕がいつも宇宙人の侵略しに来た時に備えてかぶっていると言っていただろ?」


上社は床に落ちたヘルメットを手に取るとそれを頭に被り直した。


「俺はてっきり上社が俺たちを笑わかしてくれる為にわざとかぶっているのかと・・・」


黒川は倒れた丸之内にかけよると肩を貸して丸之内を起き上がらせた。神宮西は恭一の所へと行って肩を貸してあげようとしたが、恭一は拒否して自力で立ち上がった。悪を倒した為に少しの余裕が起きた。だが、その余裕を悪魔は狙っていた。

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