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♰♰♰ どうもこうも ♰♰♰


 話し合いの結果、車をピッキングし鍵無しで運転する犯罪技術を持っている豊田に車を運転できる家庭科部部長に用心棒として家庭科部の副部長の3人が車を取りに行く事になった。職員用玄関と駐車場の間は斜めまっすぐに50メートルほどの距離を進むだけだった。だが、それまでの道の右側にある駐輪場にゾンビがおり、左側の運動場にはもっと大勢のゾンビがいた。駐車場へと向かう3人はゾンビ達に気づかれぬように街頭の光が当たる道を避けてなるべく音を立てないように静かに暗闇に紛れ込みながら走っていた。今の所ゾンビ達が3人に気づいている気配はない。残りの生徒達は職員用玄関の前で車を取りに行った3人の行方に息を飲んで見守っていた。

 

 駐車場の前にある学校花壇ではゾンビと化したおさげの女の子の園芸部員が放課後にいつもの部活動の一貫で花壇にじょうろで水を与えていた。花壇には夢乙女と花の名が書かれてあるネームプレートが土に刺さってあり、ネームプレートの前には園芸部の女の子のゾンビが新しい花が咲いてこないかな~っと期待を込めて片手やゾンビと化した園芸部の男子部員の上半身が土に埋められて水をかけられていた。まるでグリーンネックレスのように屋根から吊るされた腸などにもたっぷりの水をあげて栄養を与えていた。だが、水をたっぷり与えすぎてかえって腐るのが早まってしまいそうだ。とくに死体は。ゾンビとなった今でも残る人間だった頃の楽しい一時の土いじりも、かすかに震える土の振動で餌の予感を嗅ぎ分けた途端、人間だった頃の名残が消え、ゾンビの本能に支配された園芸部ゾンビは片手にじょうろを持ちながら後ろを振り向いた。3人の餌がこっちへと向かってやってくる。こっちから向かわずとも向こうから餌がやってくるなんてラッキーだ!ゾンビはこっちへと向かってくる生徒達の道を塞ぐかのように仁王立ちした。ゾンビに気づかれぬように静かに走っていた3人は今までゾンビに遭遇しなかったがついに眼の前に園芸部のゾンビが現れてしまった。すると家庭科部の副部長はポケットに片手を突っ込んだ。そして中からトマトを握った手を取り出すとトマトを園芸部の顔面に投げつけた。園芸部ゾンビは後ろに尻もちをついて倒れた。全てが簡単に思えた。だが、あまりにも簡単すぎる。豊田はなにか嫌な予感を感じていたら園芸部ゾンビが手に持っていたじょうろが手から離れてしまった。


「しまった!」


豊田が言い終えたのと同時にじょうろは花壇の囲いであるレンガに当たってしまった。夜の校舎は他の雑音がなく、音をシャットアウトする建物もなく、静かすぎるあまりにたった一つの音が遠くまで響き渡ってしまった。餌の居場所を告げる鐘の音の響きを聴いて運動場から、第一校舎と第二校舎の間にある駐輪場からゾンビ達の視線が駐車場へと向かう3人へと注がれてしまった。一部始終を見ていた職員室玄関の前で待機している生徒達に動揺が走った。


「おいおい~!なにやっているんだぁ~ゾンビたちに気づかれてどうするんだよぉぉぉぉ!!!!」


堀田の弱々しく泣き言に後ろから返事が返ってきた。


「どうするって?こうするのよ。」


夏樹がそう言うとたった一人で職員室用玄関から外へと走って飛び出して行った。


「ちょっと!なに勝手に飛び出しているのっ!」


麻子が怒って怒鳴ったのは勝手に飛び出して行った夏樹を心配しているからだ。夏樹は職員室用玄関と駐車場の中間辺りまでやってくるとスカートのベルトに挟んであった試験管を取り出した。


「場所が広ければやっとコイツがアイツらに投げつけれるっ!」


試験管の中身は理科室で丸之内と黒川が入れていたアルコールと手芸部がカーテンを切り取って作った紐を試験官に詰め込んである物だった。そして夏樹がもう一つベルトにピストルのように挟んであったチャッカマンを取り出すと火を着け、試験管からはみ出しているアルコールが十分しみついている紐の先に火を着けると灯火がついた試験管を持った手を高くあげた。


「おーいっブサイクちゃん達ッ!整形費用が欲しかったらアタシが出してやるっ!」


夏樹が学校中の捕食者達を自分に注目を浴びさせるように声高く叫ぶと運動場にいる頭部を片腕に抱えているラグビー部員に人間の片腕をバッドのように手に持っている野球部員に人間の頭を蹴っ飛ばしているサッカー部員などの運動場にある餌という餌をすべて食い尽くしすぎて飢えている体格のいい運動部のゾンビ達や駐輪場にいるゾンビ達など約100匹以上はいるゾンビ達が駐車場にいる豊田達よりもたった一人で灯火を振って目立っている夏樹の方へと向かい出した。その光景を職員室用玄関で見ていた生徒達は絶句した。



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