♰♰♰ バットがなければ大根があるじゃない。 ♰♰♰
家庭科部の部長や副部長がいる所よりも少し進んだ所ではうつ伏せの状態で床に倒れていた男子生徒ゾンビが両手を床につき、上半身を少し持ちあげてさぁ、これから餌を狩る時間だと気合を入れて立ちあがろうとしたその時、うぃぃぃん。うぃぃぃぃんとチェーンソーが動いている時のような音が頭の後ろで聴こえてきた。
男子生徒ゾンビが後ろを振り返ると自分の背後にキティちゃんのかわいいエプロンと三角ナフキンを頭に着けた家庭科部の女の子が二つの回転するコードレスハンドミキサーを天高く持ち上げてそれはまるでチェーンソーを振り回すレザーフェイスのように家庭科部の女の子は男子生徒ゾンビの両目から二つの回転するハンドミキサーを突き刺した。男子生徒ゾンビの頭の中身は木っ端みじんの肉のミンチになった。飛び散った肉がかわいいキティちゃんのエプロンに染み付いた。
名城によって倒されたゾンビ達は再戦へ向けて次々と立ち上がったのだが、せっかくの二度目の再チャンスも与えるヒマもなく、自分達が落ちぶれる前のかつて同じ学校に共に通っていたいつか自分と同じく落ちぶれるだろうと思っていた生徒達の手によってフライパンで殴られるわ、包丁でめった刺しにされるわ、竹刀で突かれるわ、ボールや変なヘルメットで殴りつけられるわ散々だった。
だが、やられるばかりではない。中にはなかなかくたばらないで根気があるゾンビもいた。
野球部の男子の一人が女子生徒ゾンビに向けて金属バットを何度も振り回し、女子生徒ゾンビの肩や腕、腰や腹を殴ったが、それでも女子生徒ゾンビがくたばってくれない。今度は金属バットで女子生徒ゾンビの頭を殴り飛ばした。女子生徒ゾンビの頭がぺこりとへこんで床に倒れた。ようやくこの悪夢から開放されたと片腕でおでこから流れ出る汗を拭った。だが、この根気のある女子生徒ゾンビはまたひょっこりと上半身を立ち上がらせてくたばる気配がまったくない。
「くそ!頭を殴ってもダメかよ!」
女子生徒ゾンビは立ち上がって金属バットをなりふりかまわず振り回している野球部の男子に向かって行った。ちょうど横をたまたま通りかかった家庭科部の副部長が野球部の男子が女子生徒ゾンビに押されて後ろに下がっいているのが目に入った。副部長はすぐに助けなければと思った。
「この大根を使って!」
副部長は野球部の男子に大根を投げ渡した。野球部の男子は副部長の声を耳にして大根を受け取るとまるで打席に入った後のイチローのように大根を構えると自分に向かってくる女子生徒ゾンビに対し大リーガー並のフルスイングをして女子生徒ゾンビの頭を叩いた。女子生徒ゾンビの頭はまるで割れたスイカのように頭の中身が粒になって飛び散った。野球部の男子は手元にある大根を見ながら自信を取り戻していった。
「この大根すげぇ!」
「でしょ!?国産無農薬の税込み98円で買えたのだからっ!」
家庭科部の副部長は両手にはにんじんを持っており、にんじんは今まで倒したゾンビの血にまみれていてゾンビの脳みそがこびりついていた。副部長はそのにんじんですでに5匹のゾンビを倒していた。それぞれがゾンビと格闘している間、みきはというと渡り廊下の真ん中を歩きながらのん気にやきそばパンを食べていた。




