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♰♰♰ さらば、安息の地の理科室よ。 ♰♰♰



 理科室の扉の前で黒川がまだ逃げずにその場に立っていた。理科室に残っていた最後の一人の丸之内が理科室から出て行くと黒川が理科室の中を覗き、全員が無事に理科室から抜け出したのを確認するともう二度と利用する事もない理科室を名残惜しそうに見渡した。


渡り廊下と校舎の間を口に火のついたタバコを加えて行ったり来たりとうろうろしていた豊田は渡り廊下から顔を校舎の廊下へと出して廊下の突き当りを見渡してみると豊田の表情に危機感が漂うと豊田は片手で口に加えていたタバコを取り出し、まだ理科室に残っている黒川の方に顔を向けて叫んだ。


「早くしろ!やつらが迫ってきているぞー」


豊田の声を耳にしてはっと現実に戻った黒川は理科室から後ろを振り返った。廊下の突き辺りから騒ぎを嗅ぎつけたゾンビ達と4階の教室の中にいたゾンビ兵も廊下へ出て徐々に仲間増やしていき大勢の援軍が廊下に集まってきていた。


「もう、ぼんやりとしている場合じゃないな。」


黒川は理科室の扉の真下にあるコレステロール0の油のペットボトルを手に持つと飲み口を下に向かせて油を撒き散らしながら豊田が立っている渡り廊下の曲がり角までくるとペットボトルの中に入ってある油をすべて廊下に撒き散らし空のペットボトルを廊下に投げ捨てて、豊田の肩に手を置いて皆がひと足早く進んでいった渡り廊下へと行った。


黒川が立ち去った後の誰もいなくなった理科室からはしゅーと不気味な叫び声のような音が聴こえていた。渡り廊下の曲がり角でひとり取り残された豊田は顎を上にあげ口に含んだ煙をゆっくりと外へと吐き出していた。廊下にいる先頭を歩いている3匹のゾンビは渡り廊下までまもなく3メートルまで接近。豊田は煙をすべて吐き出すとつまんだタバコをぽいっと廊下の床に溢れているコレステロール0の油の海に向けて投げ捨てた。


タバコの先の灯火がコレステロール0の油に触れると油の海は引火し、豊田は両手をポケットに突っ込むと背を曲げ、仲間達が先にいる渡り廊下を歩きだした。燃え上がった火は蛇のようなうねりをして理科室へと向かった。廊下で先頭に歩いていた3匹のゾンビ達は餌がいる渡り廊下を曲がろうとしていた。3階から4階へと上がる階段にいたゾンビ達は床が油まみれの階段を四つん這いになり獣ようにはいつくばりなりながら頂上を目指していた。


理科室はしゅーとまるでこれから飛行機に載せた爆弾が真下にある地上へと堕ちる前のような音が続いていた。その音は理科室の開けっ放しのガスの元栓から聴こえていた。そしてタバコの火からついた導火線は理科室へと辿り着いた。


理科室の方から爆発音がまず先に廊下にいるゾンビ達の耳へと先に届くと次に来たのは炎の爆風が理科室から外の廊下まで飛び出していき、まるで巨大な大蛇が口を広げてすべてを飲み込むかのように渡り廊下に行こうとしていた3匹のゾンビ達を飲み込み、階段を上がろうとしていたゾンビ達も次々に炎の爆風に吹き飛ばされていった。


豊田は渡り廊下をゆっくりと歩きながら熱風とゾンビ達の雄叫びを背中でひしひしと感じていた。豊田の口から不気味な笑い声を漏らし、豊田の眼鏡は炎に反射して血のような真っ赤に写っていた。






 生徒達が理科室を爆発させたのは安泰よりも苦難に襲われる道を選んだ。渡り廊下では嵐が過ぎ去った後で撒き散らしたゴミのお片付けをしていた。床に倒れている柔道部ゾンビの頭に突き刺した大根をまるで土から大根を引っこ抜くかのように家庭科部の副部長が血まみれの大根を引き抜きながら隣に包丁で女子生徒ゾンビの頭を突き刺している家庭科部の部長に言った。


「ねぇ、うちらが今まで使っていた油って本当にコレステロール0の油なの?ちょっと勢いよく燃えすぎじゃない?」

「そうだね、これからは予算的には高いけどオリーブオイルに変えよっか。」


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