♰♰♰ ここにてゾンビよりやばい奴登場 ♰♰♰
「理科室から出るって決めたのはいい事だ。だが、その前に・・・・」
上社の言った回りくどい言葉に黒川が一足早く気づいた。
「そうだな、何かをする前にはまずは空腹を埋めるのが道理だ。」
「異議なし。」
誰も生理現象には逆らえなかった。
「でも、理科室に食い物なんてあるの???」
丸之内が言うと皆はわずかな希望にすがろうと理科室中を見渡してみたが理科室にあるのは重苦しい溜息だけであった。
「あるのは実験に使う器具のみか・・・・」
黒川の顔にはこれからゾンビに立ち向かうって時に空腹であるというハンデを背負わなきゃいけないのか・・・と苦しみが現れていた。
「ねぇ、ほら見て!これなら食べれそうじゃない?」
みきが何かを自分の顔の位置まで抱えて皆に見せびらかした。それは瓶にホルマリン漬けにされたカエルだった。
「串刺しにしてバーベキューにしたら美味しそう!」
「いや・・・僕達はいいからそれは全部きみにやる・・・」
上社の顔がホルマリン漬けにされたカエルのように生気がなかった。
「やったー!!!」
みきは嬉しくてカエルのように飛び跳ねていた。
「学校から抜け出せばコンビニで買い物し放題だろうから食い物はそこで手に入れよう・・・・。」
黒川はホルマリン漬けにされたカエルを見たら食欲も失せて来た。
「質問!」
真由がまるで授業中に先生に質問する生徒のごとく手を高く上げた。
「はい、そこのお嬢さん。」
上社がまるで生徒を扱う先生のごとく真由を指した。
「武器もないのにゾンビがいる外に出ても大丈夫なのですか?」
「しまった!ここはハリウッド映画みたいに都合がよくピストルが何処にでもあるわけでもなかった!」
黒川は後先も考えずに感情だけで動いてしまっているゆえに後から都合が悪い問題が次々に出てきた。
「ほらねっ!やっぱりあんたは何も考えてなかった!みきは端からあんたの意見には大反対だったのっ!」
「さっきと言っている事が全然違うじゃねぇか!くそ!5分前ならお前でさえ友情を感じていた自分が恥ずかしい・・・・」
「黒川。5分も続いたのなら頑張ったじゃん。」
神宮西が同情を込めて黒川の肩を叩いた。
「武器ならある。」
全員の視線が声のした後ろにいる男子生徒を見た。
「こいつ何者だよ・・・」
名城がめずらしく突っ込みを入れた。彼は黒川と同じ同級生の豊田だった。化学部員で放課後のゾンビ騒動の間に彼はゾンビがいない理科室の倉庫にいたために運良くゾンビによる被害にあわずに済んだのだ。
「あるって、だから何処よ?ここは武器庫じゃなくて理科室じゃん??」
みきから出てきた質問を待っていましたと言わんばかりに化学部の豊田のメガネが暗闇の中でキラリと輝いた。
「僕達が今いる場所こそ武器のバーゲンセールさ。」
生徒達は自分達がいる理科室の周りを見渡した。
「実験道具しか見当たらないのだけど?」
神宮西が質問すると豊田は顎を上げてメガネはさらに眩しいくらいに反射した。
「やろうと思えばここにある物だけで学校をまるごと吹き飛ばす事くらい僕にはお安い御用さ。今まで退屈な授業中を我慢している間にその妄想を何度か広げていたが、ついに実現できる時がきた・・・!」
「でもさ、車のキーはどうするの?僕達は車も先生達の車のキーも持ってないよ。」
丸之内が訪ねた。
「職員室に行って先生達の車のキーを取りに行かなければならないってワケね。」
神宮西が言うと麻子が慌てて黒川達に駆け寄って警告した。
「ダメダメダメっ!職員室なんてダメ!先生のゾンビだらけだったよ!」
「そっかーはぁーやれやれ車のキーを取りに行くまで骨が折れそうだ・・・・。」
黒川達は学校から脱出すると決断したのは早かったが後から次々と出てくる問題に頭を悩まされた。だがその時、またもや豊田が口を出した。
「キーがなくても車は運転できる。」
「どうやって???」
神宮西が首をひねって豊田に尋ねた。
「君達はただ僕がこれからする犯罪を見逃してくれるだけでいい。」
「おいおい、ゾンビよりこいつの方がヤバイじゃ・・・?」




