表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/98

N as in Name(名前のN)、VIII

「晩ご飯はカレーうどんにするって言ってあったわよね?」

「一応私も『だめ』って言ったんだけど。しょうがないじゃん、カップ麺(instant noodles)もなかったし」


「ダメと言った」は英語では

 I said “no”.


 ダメってなんて言うんだろう? と難しく考えることはない。「No」で充分だ。


 カップ麺はinstant noodlesと言う。即席(instant)の麺(noodles)という意味だ。


「じゃあ、夕食ないわよ(No dinner tonight, then.)」

「やだ!(No way!)」

「なんか買ってきてちょうだい」

「無理(No)。今本読んでるから」

 娘は手元の本から目を離さずに言う。珍しく、小説(novel)を読んでいるようだ。


「今(now)。行ってきて」

 若者が活字を読むことは素晴らしいが、それどころではない。

「ええっ! じゃあピザ屋に行ってくるからね! めっちゃ買ってきちゃうからね!」

 娘は小説(novel)をソファに放り出して言い放つ。


 ピザはあまり栄養がない(not really nutritious)が、この際もういいわと瑛子は投げた。


 食品の裏に必ず書いてある『栄養成分表』。カロリーとか、糖分、脂質などが書いてあるところだ。これは、『nutrition facts』と言う。直訳すれば、『栄養の事実』といったところか。

 まず初めに確認するのはカロリー、という人も多いのではないか。減塩中の人なら塩分も気になるところだし、今時の加工食品は高機能なものが多く、ビタミンやらカルシウムやらも含まれているものが多い。


「お駄賃もらうからね!」

「近所(neighbor)でしょうが」

 ピザ屋は歩いて十分もかからないところにある。

「新商品(new item)いっぱい買ってきちゃうから!」

「ナポリ(Naples)ピザがいいわ」


 瑛子はニュース番組(news channel)を付けながら言う。夕食がピザなら、あとはサラダでも作ればいいかと思いつつ、ついでに夫がテーブルに置きっぱなしにしている新聞(newspaper)を開く。が、文字が頭に入らず諦めた。新聞はパリッとしていて、読まれた形跡がない。


 どうせ夫だってたいして読んでいないのだ。解約するか。


 テレビではキャスター(news caster)が都会のグルメを紹介している。どうやら新しいトレンド(new trend)はオランダ(Netherlands)のチーズケーキらしい。


 バスクチーズケーキの時代は終わったのか。

 チーズケーキってサイクルのように時々ブームになるのよね。


 スタジオでは人気ナンバーワン(number one)のものを実食している。


 大変美味しいそうだ。


 そりゃそうだろう、だいぶお高いし、と瑛子は頷いた(nod)。

 瑛子はよく頷きがちだが、頷くは英語でnod。

 I nod. (私は頷く)

 I nodded. (私は頷いた)

 といったふうに使う。


「新商品(new item)を買ってくる」宣言をした娘は有言実行とばかりに、まさにテレビで見ていたオランダ(Netherlands)のチーズケーキを得意げに披露した。大変美味だった。まあオランダ(Netherlands)は酪農大国だから、乳製品は得意だろうけど。


 ◆◇◆◇


 片付けを終えて一息ついた瑛子は、お茶を片手に椅子に座った。

 机の上にはガス料金の支払い請求書が置いてある。それをチラリと見て、瑛子は目を逸らした。見たくない、と請求書を裏返す。思い出されるのは、これがポストに入っていた時の衝撃。

「へっ!?」と思わずすっとんきょうな声を出してしまうほど、高額請求だったのだ。

 使用量はほぼ(nearly)去年と同じ。それなのに、なぜこの値段……?


 請求書の端っこのほうに、『値上げしましたよー』と書いてあるのを見つけて、「ああ、そうだったわね……」と瑛子は呻いた。


 ここ最近の天然ガス(natural gas)の値上がり幅は、半端ない。暖かい季節ならまだしも、これから本格的に寒くなったら、どうなってしまうというのだろう。

 北風(north wind)が吹く季節には、ゆっくりと湯船に浸かりたい。若い頃のように、シャワーで済ませていては疲れが取れない。やはり首(neck)まで湯船に浸からないと。


 でも、このガス代……

 新年(New Year)の抱負が『節約』になるなど、切なすぎる。


 日本が天然資源(natural resources)に乏しい国(nation)だというのは重々承知だが。もうちょっとどうにかならないものか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ