C as in Cool(涼しいのC)、I
Cから始まる英単語の回。
「暑い……」
瑛子は籠った息を吐き出した。
まだ朝の七時だというのに、もう外は灼熱である。
じりじりと音を立てそうなアスファルト。
昼過ぎには、いわゆる『車(car)のボンネットで卵焼きができる』ほどにまで気温は上がるだろう。
夜の間に気温が下がらないからだ。前日の熱気にさらに熱気を重ねるように、暑さは日々増してきている。
Climate change (気候変動)
ぽんとこの言葉が頭に思い浮かんだ。
冬の寒い時期は別にグローバルなことなどを考えたりしないが、夏にこれだけ暑いと、やはり近頃の地球はどこかおかしいのではないかと思う。
そう考えると、二酸化炭素(CO2)も多いような気分になってくる。
息苦しいのは暑さのせいか、それとも酸素が薄いからか。
南国ではサンゴ(coral)も減少しているし、カカオ(cacao)やコーヒー(coffee)の栽培地も減少していると言う。暑過ぎて植物を育てる(cultivate)ことができないからだ。
自分が子ども(child)だった頃は、こんなに暑くなかった気がするんだけどなあ。
瑛子は頭を捻った。
子どもの頃は、外で遊べる時代だったのだ。
プールに行ったり、サイクリング(cycling)に行ったり。
市(city)のプールで遊んだ子ども時代(childhood)の思い出が蘇る。
市役所(city hall)の隣にあったプールは特に面白みのない普通のプールだったけど、夏には欠かせない場所だった。
その帰り道には、筒状のプラスチックに入った氷菓子を噛み(chew)ながら友だちと合唱(chorus)したりして。
硬貨(coin)をいくつか握りしめて外に出れば、一日遊ぶには十分だった。
木に登る(climb)子どもだって結構いた。
そういえば従兄弟(cousin)は、蝉(cicada)を捕まえ(catch)てたっけ。
今じゃ真夏なんて危険注意報が出される時代なのだから、子どもたちだって外で遊びたくても遊べない。
子どもがゲームに夢中になったから外で遊ばなくなったのではなく、外で遊べる環境がなくなってきたから室内にいるしかないくなった、という面もあるのだ。
こういうものは地域社会(community)でどうにかするべき問題なのだろうけど、財政難のところも多いから、皆口を揃えて「いやー、これは難しい(challenging)な問題ですねぇ」などと言って濁しがちだ。
――チュンチュン、チュンチュン
スズメが朝から元気よくさえずっている。スズメも暑くて眠れないのか。それとも、これくらいへっちゃらなのか。
蜃気楼さえ見えてきそうなほど熱いコンクリート(concrete)の上を歩く犬も大変そうだ。
瑛子は電車通勤をしているのでこうして徒歩で駅に向かっているわけだが、たとえ数分であろうと、駅に着く頃には汗がどっと湧き出てくる。
それでもなんとか気合いで駅に着いて、ホームへと移動する。なるべく空いている車両(car)を探すが、きっと座ることはできないだろう。
ちょうどタイミングよく来た電車に乗って、ほうっと息をつく。やはり電車の中は涼しい(cool)。でも汗が落ち着く頃には、肌寒く(chilly)なっているから困ったものだ。それを通り越して、寒い(cold)時もあるので、真夏といえど羽織ものは欠かせない。
ドアが一旦途中まで閉まって(close)、また開いた。ドアの近くに立っていた瑛子は、慌てて身を引いた。
車掌さん(conductor)が「ドア閉まりますんで! 駆け込み乗車しないでください!」とややキレ気味にアナウンスをしている。
『まだいけるかも!』と駆け込んできた乗客がいるのだろう。
これは危ないから本当にやめておいたほうがいいと瑛子は思う。若い人ならいけるのかもしれないが、中年以降は体が追いついていかないことも多くなるから、転んで怪我をしたら自分が痛いだけでなく、周りにも迷惑をかける。




