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H as in Happy(ハッピーのH)、IV

 コンサートが終わってホール(hall)を出ると、外に向かって歩いて行く観客は、みんな幸せ(happy)そうな顔をしている。

 瑛子も笑顔だ。また聴きに来ようと、瑛子は『ご自由にどうぞ(Help yourself)』と書かれたラックから、いくつかコンサートのパンフレットを引き抜いた。


 フレンチホルン(French horn)の三重奏

 ハープ(harp)のソロ演奏

 ヒップホップ(hip hop)とクラシック音楽のコラボ、なんてものもある。


 いつもの生活を送っているとなかなか気づかないが、世界には音楽も芸術も広がっているのだなあと思うのはこういう時だ。

 たまにはお出かけするべきなんだわ、と思いながら瑛子は廊下(hallway)を歩いていく。


 外に出ると、外はまだ熱(heat)がこもっていた。


 くう。

 瑛子の腹が鳴る。


 朝ご飯は血液検査をしなければいけなかったので抜き、昼は駅前の立ち食いそばでさっと済ませただけだった。暑さで食欲どころではなかったが、さすがに夕方ともなるとエネルギー切れだ。

 音楽を聞いたから、というのもあるかもしれない。感動すると、意外とエネルギーを使うのだ。


「お腹すいた(I’m hungry.)」

 瑛子は腹を押さえた。

 家(home)まで我慢するべきか。

 微妙な時間ではある。でも、と瑛子はデパートのカフェに入って行った。

 メニューには色とりどりのスイーツたち。


 だって、今日は自分をとことん甘やかす日だもの。


 健康(health)とはまさにこういうこと。毎日甘い物ばかり食べていたら健康ではないだろうけど、時たまこうやってご褒美をあげることも、心の健康には必要だ。


 だから、これは心の栄養なの。


 そう自分に言い聞かせつつ、瑛子はホットケーキを頼んだ。SNSで『ここのホットケーキはまじデカい(huge)』とバズっていたものだ。それがテレビの特集で取り上げられていて、お上品なカフェにあるまじき大きさ、ということで話題になっていたホットケーキだ。瑛子もそれを観て、ミーハー心にやって来た次第である。


 パンケーキブームが起きて(happen)久しいが、瑛子はずっとパンケーキではなく、ホットケーキ派。薄いパンケーキより、厚い生地のホットケーキが好きだ。別にパンケーキも嫌い(hate)というわけではないが、やはり小さい頃に食べた懐かしの味、というのは大きい。


 さて、ホットケーキは『hot cake』で通じるのか? という疑問。

 おそらく、日本に来たことのある外国人なら、『hot cake』と言っても分かってくれるだろうが、その他にはほぼ通じないと思った方がいい。

 ただ単純に、『hot』と『cake』を並べただけだと、文字通り『熱い』『ケーキ』となり、「はて?」と首を傾げられるだろう。「熱いケーキってどんなやねん」、と。


 なので、「ホットケーキとは、日本風の厚めのpancake ですよ」、と説明するのが無難だ。


「お待たせいたしましたお客様。ホットケーキでございます」

 そう言ってサーブされたのは、本当に大きなホットケーキだった。手のひらよりも大きく、厚い。それが、三枚重なっている。なんでも、銅製のホットケーキ用のフライパンで一枚一枚、パティシエが焼いているらしい。


 見るからにふわふわな生地。

 表面はきつね色。

 湯気の立ったホットケーキの上には、大きな塊のバターが乗っており、それがホットケーキの熱(heat)でとろりと溶けている。


 プレートの脇には、小さな取手付きの銅製のジャーに入ったちみつ(honey)。

 メニューの説明によると、『ハンガリー(Hungary)産のハイグレード(high grade)のはちみつ(honey)』だそうだ。


 はちみつなんて世界各国で採れるだろうが、地名や国名が入っているだけで高級感が出るのはなぜだろう。『それだけお墨付きってことですよ!』という証なのだろう。しかも、ハイグレード(high grade)ともなれば、間違いなく美味しいに違いない、と思う。


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