表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/98

H as in Happy(ハッピーのH)、I

Hから始まる英単語の回。

「あ、今日はラッキーデーだ」

 瑛子はキッチンで食器を片付けながら、テレビの星占いを見る。自分の星座になると手を止めてテレビに注目してしまうのは、もはや癖(habit)のようなものだろう。

 瑛子の星座は、今日は運気が一番いいらしい。『最高位(the highest ranking )』というのは、たとえ星占いであろうと気分が上がるものだ。


「今日は何をやっても上手くいく日。いつも頑張っているご褒美に、めいっぱい自分を甘やかしてあげましょう!」

 元気なアナウンサーが明るく告げる。ラッキーアイテムは『甘い物』だそうだ。


 星占い(Horoscope)


 信じる人もいれば、信じない人もいる。

 信じない人は、星占いなんて結局、誰にでも当てはまるような曖昧なことが書いてあるのだと言う。確かに、これは道理だ。


『この星座の人は、とても優しくて、でも時々怒りっぽくて、心が広くて、でも時々心が狭い』なんて書き方をされると、そりゃまあ、大抵の人がそのどれかに当てはまるよね、と思う。


 その一方で、人気の占い師の追っかけをやっているような、熱狂的な占いファンの人もいる。その先生の講演に通い、本を買い、占いに書いてあることを信じ、その通りに行動する人たちだ。


 まったく信じない、もしくは完全に信じる、と両極端な人も多くいるが、大抵の人は、占いのいいところだけを信じるのではないだろうか。


 この、『いいところだけを信じる』というのは、つまり、handpickするということ。

 Handpickとは、文字通り、手(hand)で摘む(pick)という意味で、『自分に都合のいいことだけを選ぶ』という意味だ。


『都合のいいことだけを選ぶ』言うと、『自分の都合のいいように曲解すること』と思われがちだ。だが、『都合のいいことだけを選ぶ』ということこそが、占いの真髄なのだと瑛子は思っている。


 占い――たとえそれが星占い(horoscope)だろうが、手相占いだろうが、四柱推命だろうが――は、その時の自分の心の状態を映し出す鏡のようなものだ。


 気分が良いときは、良いことを書いてあるところに目がいくし、逆に気分がいときは、悪いことが書いてあるところに目に付くもの。

 そして、その占いを見た後も、信じることに決める、もしくは信じないことに決める、というのも自分次第だし、占いの通りにやってみようと思うのも自分だし、また占いの通りには行動しないと決めるのも自分である。


 この取捨選択をした時点で、その占いはその人だけの占いに変わる。だから、占いはまったく無意味なわけではないと瑛子は思うのだ。


 人は常に、取捨選択して生きている。自分にとって大事なこと、自分にとって印象が深かったことは短期記憶に刻まれ、その後、長期記憶に変わっていく。

 逆に、自分には関係ないと思うことは、どんどん忘れていくものだ。年始に引いたおみくじに、なんと書いてあったか覚えているだろうか? 信じると決めたことだけを覚えているのではないだろうか。


 役立つ(helpful)ことも、そうでないことも書いてある。しかしながら(however)、具体的に『どう(how)』『何を』成し遂げるかは書いていない。

 それを決めるのは自分だけ。


 これこそが、占いの本質なのだ。


 占いというのは、潜在的な願い(hope)を明らかにしてくれるもの。たとえ大凶が出たとしても、それは誰かを傷つける(harm)ためのものではない。困難な(hard)な状況にも対処(handle)できるように、道標となってくれるもの。


 ちなみに、瑛子のおみくじには『関係を精算するのに良い年』と書いてあった。


 さて、どうなることやら。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ