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D as in Dog(ドックのD)、V

 ◆◇◆◇


 息子は今朝までDoomsday(この世の終わり)のような顔していたが、起きたら「デザート(dessert)が食べたい」と言い出した。


 デザート(dessert)と砂漠(desert)。

 似たスペルだが、デザートのほうは『s』が二つ並ぶ。『デザートは甘い(sweet)から、sが二つ』と覚えると記憶に残りやすい。

 ちなみにアクセントの位置も変わるので、発音にも注意だ。砂漠は最初の音節にアクセント、デザートは二番目の音節にアクセントがある。『デザートは甘いからsが二つで、そこを強く発音する』と覚えるといい。


 息子だが、夕方にはすっかりケロッとした顔をして元通り。リビングで謎のダンス(dance)をしている。『恐竜(dinosaur)の舞』だそうだ。安心するやら、呆れるやら。

「揚げ物(deep-fried fiod)が食べたい」と言うが、それはさすがに却下した。


 なので、本日の料理(dish)は、消化のよい(digestible)、野菜たっぷりポトフにした。


 娘のほうは、妙に機嫌が悪い。

 まだ具合が悪いのかと心配すると、「それどころじゃない」と言う。何事かと思ったら、友だちが彼氏に捨てられた(ditch)のだそう。


 友だちと娘がいつものように並んで登校すると、友だちの彼氏が後輩の女の子と腕を組んで、二人の方へ歩いてきたのだそうだ。


 ポカンとしたまま二人が過ぎ去ってから、「……は?」と気づいて後ろを振り向くと(double take)、彼氏が気まずそうな顔をして肩をすくめたらしい。


 そして後輩女子による、「先輩は私と付き合うんで」宣言(declaration)。


 そこから娘と友だちvs後輩女子の言い合いバトルが勃発し、友だちは彼氏を詰るも曖昧な態度。キレた友だちが「この女と私、どっちにするの!?」と一か八かの賭けに出た(double down)ところ、完敗。

「悪いな」と彼氏は軽く言って、後輩女子と去っていったらしい。


「もう! ほんっっっと! あのクソ男っ!!」

 娘は鼻から煙を出すんじゃないかという勢いで吐き捨てた。話しているうちに、今朝のイライラが再燃したらしい。

「もう! 頭痛くなってきた! お腹も痛いし! ママ、頭痛薬ちょうだい!」

 箱ごと渡したらすべてを飲み込んでしまいそうな怒りっぷりに、瑛子は服用量(a dose)を娘に渡す。娘はそれを憎き仇のように飲み干す。


 こりゃ生理前だな。

 瑛子はやれやれと首を横に振る。女が毎月付き合っていかないといけないものだから、こればかりは仕方ない。


 戸棚からチョコレート菓子を取り出そうとする娘に、瑛子は声をかけた。

「今日はやめておきなさい」

「……なんでよ?」

 体重が気になるお年頃なのだ。こういう話題には敏感だ。

「なんでって、お腹壊してたでしょう? 負担かけるのよくないわよ」

「そんなの昔の話だし」


 昔ってことはないだろうと思いつつ、若者にとって昨日のことなど昔みたいなものなのだ。


 人生には、浮き沈みがある。(There are ups and downs in life. )

 こういうことを繰り返し、娘も大人になっていくのだ。

 娘も将来、瑛子のように過去をくよくよと考える(dwell on the past)日が来るのだろうか。

 願わくば、娘の振り返る過去が幸せで溢れているように。

「ママのようになっちゃだめよ」なんて押し付けをするつもりはないけれど。



 そんなこんなしているうちに、今日も終わり(done)だ。


 明日は朝からレッスンが入っている。

 瑛子は引き出し(drawer)から衣服を出す。気分を上げるために、明日はお気に入りの水玉模様(polka dot)のトップスにしよう。


 今日はいろいろ考えて、頭がいっぱいだ。

 消沈した(depressed)気持ちを上げるために、瑛子は鼻歌交じりでダイニングルーム(dining room)を掃除する。


 気分が乗ってきたので、このさい断捨離をしようか。

 子どもの着なくなった服は寄付(donate)しよう。


 ネガティブなことというのは、たとえ些細なことであっても、放置しておくとドミノ倒し効果(domino effect)のように他にも広がってしまう。ネガティブなことに心を支配(dominate)されるわけにはいかない。立ち止まる時間などないのだから。


 そうだ、今度の休みは家族で日帰り旅行(day trip)に行こう。


 美味しい(delicious)ものを食べて、楽しい(delightful)ことをして。


 It’s always darkest before the dawn.

『夜明け(dawn)前がいちばん暗い(darkest)』と言うし。


 What’s done is done.

 済んでしまったことは仕方がない。


 From birth to death (生まれてから死ぬまで)、日常は続いていく。


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