第五十六話 終結
戦闘を続けるうえで、何度か飛ぶ斬撃にかすります、が足がちぎれたりだとかしなければ大丈夫です。致命傷以外はドラゴンの治癒力も相まって大抵何とかなります。
ですが、このままだと間違えなく私達の方が死ぬでしょう。
リーチェも遠距離攻撃を続けていますが、空中で叩き落されたり、当たっても効果がなかったりです。
お互い攻撃の効果はないようで
一瞬の隙を見られ、斬撃が飛んできます、加速や壁の配置の関係上どうしても躱せないものが、しかしその攻撃に私は当たりません。風に吹き飛ばされ位置がずれたからです。
「ポーラさん!」
「状況はだいたい分かってるぜ」
ポーラさんは近くの建物の上に立っていました。
いつもより静かで悲しそうな声、それは周りに吹く風にも表れています。背筋が凍り付くようなそんな気配です。
次の瞬間、化け物に無数の風の刃が襲いますが、鎌によって弾かれほとんどは当たらず、当たっても致命傷とはいきません。
ですが、風と炎なら可能性があるかもしれません。
「ポーラさん、タイミング合わせてください、一瞬で決めます」
「分かったぜ」
攻撃を避けながら、タイミングを見計らいます。そして、リーチェが察してくれたようで閃光玉、一般的にスタングレネードと言われるものを投げます。私達のいる建物の下あたりに。
爆発する直前に飛び出します。
「ドラゴンさん、力を出し切って」
全武装、全身に炎をまとい、飛び上がります。ポーラさんからの風を受け今までに無い速度で、近づき一刀両断、そのまま、かぎ爪による連撃を加えます。
こうして、私の戦いは終わりました。
「ポーラさん、リーチェ、街の方に行って他の虫を止めてきて」
「何も言わず二人共、いろんな音がする方へ進んでいきます。
私は安心、悔しさ、悲しさ、怒り、どれに該当するのかよく分からない感情の中にいます。
自然と涙が流れては来ますが、何のための涙なのかも分かりません、笑ってるような、泣いてるような
それでいて大声を出しているよな、顔を手で覆って考えます。
私は深呼吸をして、一度心を落ち着かせます。
結局何が起きた戦いだったのかもよく分かりません、彼女が何者で何のために行動していたのかも、これから分かることなのでしょうか、いつまで続くことなのでしょうか
私にとって、一番深い死だったのかもしれません、前世でも人の死に立ち会ったことはありませんし、この世界に来てからあまり人とも関わっていないので、
ただ、ここで悩んでいる訳にもいきません。
一刻も早く、この騒ぎを治めないといけないのですから
「ドラゴンさん、あと少しだけ行ける?」
「後少しだけだぞ」
私は再び炎の翼を広げ飛び立ちます。




