第五十三話 真実
リーチェが私に聞きたいこととは何でしょうか。まあ、表情を見る限り深刻ことではなさそうですし、話を聞いたら、ポーラさんとアイリスさんの村の話をしないといけませんね。
「それで聞きたいことって?」
「えーっと、まずは私達はどうやって会ったんだったのかな」
「たしか、転生してすぐの頃、仕事を受けたかったけどお互いに頼れる人が居なくって、それでパーティーを組んだのが始まりだったはず」
「それじゃあ、アイリスちゃんとはどこで会ったのかな」
「それは、一週間前に虫の大群に囲まれてたアイリスさんを助けて、その後いろいろあって、まあそんな感じ?」
「ありがとね」
「リーチェ、私からも言っておかないといけないんだけど」
「何かな?」
「一つ目にアイリスさんの村が襲われてたこと、二つ目にポーラさんが実は家出してて、親に帰ってこい、と言われてるらしいこと」
「私の問題でみんなを巻き込むつもりはないぜ」
「みんなの問題です」
ポーラさんはこの問題を自分で解決したいようですが、そんな単純な話ではなさそうなんですよね。
「それでその村、何かおかしいことは無かったかな」
「それが、死体が一つも無かったんだよね、家は壊されてなかったのに」
「後でアイリスちゃんに伝えておくね、それと、私も仕事があるから時計塔の下に十時でいいかな、多分アイリスちゃんと一緒にいると思う」
「随分と時間がかかるね」
「まあ、それじゃあまた後でかな」
そう言って、リーチェは去ります。
「十時なら先に宿を取っておきましょうか」
「それに賛成だぜ」
とりあえず宿を取って、のんびりしながら数時間が経ちます。ただ、どうもいい予感がしないんですよね。
時計は今、九時を指していますが、少し先に行ってしまいましょうか。
「ドラゴンさん、起きてる?」
「さっきまで寝ておったからな、当然起きておるぞ」
「ポーラさん、二人を迎えに行くので、少し待っててください」
「分かったぜ」
返事は元気ですが、表情というか目線というかどことなく上の空とう言う感じです。
夜になると結構寒いです、その所為か人通りは昼に比べて極端に減っています。炎のマントがあるだけ他の人よりましかもしれませんが。
そう思いながら、時計塔に向かっていると、ふと噴水とその前にいる二人の少女が目に入ります。
茶髪と銀髪、それにあの身長と服装なら、ほぼ間違えないでしょう。
私が近づいていくと。アイリスさんから血が飛び散ります。いや正確には、私がそれを血だと認識するのには時間がかかりました。
なぜならその血は、透明で隣に見える噴水の水がはねたそういう風にしか見えなかったからです。




