第二十五話 月のフクロウ
数秒待っても消える気配が無かったので、音の原因を探ることにしました。
まあ、音の原因はリーチェのベッドの上にあった。目覚まし時計ですね。肝心のリーチェがいないことが気になりますが、まずはこの耳障りな音を切りましょう。
二人はこの音を聞いても起きていないようです。私がリーチェのベッドには一番近かったので、一番早く目が覚めましたか。
どこか出ているのでしょうか、何か嫌な予感がするような……。
そう思い、扉を開けて廊下の様子を見ようとすると、そこは全く別の部屋でした。
どうなっているのでしょうか、本来存在するはずの廊下ではなく、見たことのない部屋です。
その部屋を確認するために、足を踏み入れると、ドアが自然に閉まります、まるで部屋が大きく傾いているような、そういう風に閉まります。
急いで扉を開き直しますが、そこは二人が寝ている部屋ではなく、また別の部屋になっています。
扉を開け閉めするたびに部屋が変わるということでしょうか、それなら、元の部屋に戻るために移動し続けるしかありませんか。
そう思い、扉を開けるとそこに居たのはリーチェでした。
「リーチェ、ここは一体?」
「レイナちゃん、一言で言うと、今サンタさんに襲われてて、殺すしかないかな」
いや、どういう状況なんですか。と思っていると扉が開き、フクロウの着ぐるみが出てきます。今見ると物凄く不気味です。月明りに照らされた体は輝いていて、近寄りがたい雰囲気が漂います。
「レイナちゃん、これの能力は空間をつなげることだと思うかな」
「また随分と、無茶苦茶な能力のようで」
着ぐるみの羽がわずかに動きますが、その羽のせいで手の動きが見えないのが嫌らしいです。
「レイナ、右に避けて!」
すでに左に体を動かしているリーチェから言われます。私は近くで鳴る機械音によって目が覚めます。転生前の目覚まし時計を思い出させる音です。
私が体を動かすと後ろからナイフが飛んできます。これは確かにリーチェでも余裕が無いでしょうね、というかこれを相手にして無傷なリーチェもかなり化け者ですね。
「リーチェ、武器頂戴」
リーチェは無言で剣を渡してきます。ロングソードと言われる西洋のイメージにぴったりなものですね。剣の刃は銀色から赤に変わります。
火事は起こさないように気を付けないといけませんね。
相手が次の行動をする前に突っ込み、剣を振りかぶり、上に意識を逸らして蹴りを入れますが、私の足は消えて、後ろに移動します。痛みは無いので切られてはいません。相手も戦斧のようなものを振りかぶっているので、さらにもう一歩踏み込みます。
瞬間移動をして後ろに下がれました。戦斧はかなりの長さがあったので正直に下がっていたら死んでいたかもしれませんね。
今ので分かった二つのことは、物が通ってる途中に能力を解除できないこと、そしてまともにやってたら傷一つつけられないということですね。




