↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
65/75

第12話 明日へ その7

 ――Noiseキャンセリングを。


 ――発動する。


 大粒の涙が。


 視界を奪う。


 目の前には。


 唯一無二の親友がいる。


 気丈に振る舞って。


 笑って。


 自分が消えることすら受け入れて。


 それでも。


 世界を救えと。


 背中を押してくれている。


「……。」


 ミソラは。


 震える唇を噛み締める。


 そして。


 叫んだ。


 腹の底から。


 全てを押し流すように。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


 十二本の光の柱が。


 一つに纏まる。


 眩い。


 桃色の光。


 それは。


 世界を包み込んだ。


 ――――。


 ――――。


 ――――。


 ピピピピピ。


 ピピピピピ。


 ピピピピピ。


 ガチッ。


 耳元で鳴り響く。


 目覚まし時計を止める。


「……ん。」


 ミソラはゆっくりと身体を起こした。


 朝。


 窓から差し込む光。


 朝のホームルームまでは。


 まだたっぷり一時間ある。


 着慣れたはず制服へ袖を通す。


 ただ。


 それは。


 何故か始めた着た気がするデザイン。


「……。」


 鏡を見る。


 見慣れた自分。


 見慣れた部屋。


 見慣れた両親。


 見慣れた朝。


 いつものように家を出る。


 いつもの通学路。


 いつもの街。


 何も変わっていない。


 世界は。


 平和だった。


 世界を襲う化物なんていない。


 電子機器も正常に動いている。


 人々は笑っている。


 それなのに。


「……。」


 ミソラは。


 胸元へ手を当てた。


 何かが。


 足りない。


 何なのか。


 分からない。


 ただ。


 ひどく寂しかった。


 ――魔奏少女ミソラシュピーレン。


 Ending Song


 『大切な人』


 ♪鏡に映る 知らない誰か

 ♪そんなふうに 世界を見てた

 ♪でも君に出会ってから 全部が変わったの

 ♪不器用な指先で 奏でた音色


 街頭の巨大スクリーン。


 そこには。


 最近売り出し中のデュオユニットが映し出されていた。


 緑髪のキーボード。


 銀髪のギター。


 二人は。


 本当に楽しそうに。


 楽しそうに歌っている。


 ミソラは。


 足を止めた。


「……。」


 知らない。


 そんな二人。


 知らないはずなのに。


 胸の奥が。


 少しだけ痛んだ。


 ♪どうしてこんなに 胸が苦しいの?

 ♪どうしてこんなに 君を探してる?

 ♪名前のない感情が 溢れ出しそうだから

 ♪言葉にするより先に 走り出してた


 再び歩き出す。


 今度は。


 スポーツニュースが目に入った。


 どこかの国。


 女子サッカー選手が。


 デビュー以来、連続でハットトリックを決めているらしい。


 画面の中で。


 赤髪の少女が。


 楽しそうに笑っている。


「……。」


 見たことなんて。


 ない。


 なのに。


 その赤い髪に。


 どこか見覚えがあった。


 その傍らでは。


 白髪の少女が微笑んでいる。


 サポーターだろうか。


 ♪離れていく背中を 見送ることしか

 ♪できない私を 許さないで

 ♪それでも最後に 一つだけ言わせて

 ♪君に出会えて 本当に良かった


 そして。


 学校。


 いつもの教室。


 いつもの友達。


 いつものように。


 笑い合う。


 くだらない話。


 くだらないことで笑う。


 それだけなのに。


「……。」


 ミソラは。


 ふと窓の外を見る。


 どうして。


 こんなに。


 寂しいんだろう。


 ♪この気持ちはなんて言うのかな

 ♪君が笑うだけで心が晴れるよ

 ♪連絡も理由も要らない

 ♪ただ君と居たいんだ


 ♪この気持ちはなんて言うのかな

 ♪君が居るだけで心跳ねるよ

 ♪恋愛でも友情でも無い

 ♪いつも君と居たいんだ

 ♪私の大切な人


 ミソラは。


 胸に手を当てる。


 名前のない感情。


 忘れてしまった。


 大切な何か。


 それでも。


 心の奥には。


 確かに残っている。


 ♪ごめんね ありがとう さようなら

 ♪いつまでも いつまでも忘れないよ

 ♪もしもどこかで会えたら

 ♪友達と呼ばせて

 ♪私の大切な人


 ――キーンコーンカーンコーン。


 朝のホームルーム。


 教師が教壇へ立つ。


「えー。」


「なんと!」


「今日は転校生が来ております!」


 教室中がざわめく。


「転校生!?」


「それじゃ。」


「入ってきてー。」


 ガララッ。


 教室の扉が開く。


 入ってきたのは。


 気品のある。


 金髪のツインテールの少女だった。


 ミソラは。


 何故か。


 その姿から目を離せなかった。


 少女は教壇の前へ立つ。


 そして。


 優雅に一礼する。


「初めまして、皆様。」


 その声を聞いた瞬間。


 ミソラの胸が。


 大きく跳ねた。


「ワタクシの名前は……。」


 少女が微笑む。


「綾小路――――。」


 ――――。


 魔奏少女ミソラシュピーレン。


 **A End**


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。