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第8話 「それが君だ。」 その3

 アノマリー襲撃から三日後。


「今日もミソラシュピーレン、練習しますわよー!」


「やるぞー!」


「致し方あるまい。」


「おー、よろしくたのーむ」


 そこには見慣れない緑髪の少女が紛れ込んでいた。


 https://51629.mitemin.net/i1232108/


「……。」


「……。」


「……。」


「……。」


「なんでシリウスのリーダーが居ますのぉぉぉぉぉぉっ!!!!」


 ピスケの絶叫が音楽室中へ響き渡る。


「ハッハッハ!」


「しばらくこっちで世話になることになった!」


「今日からよろしくね!」


「いや!」


「シリウスはぁ!?」


「解散した。」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」


「ハッハッハ!」


「落ち着け。」


ミスティがいつもの調子で言う。


「落ち着ける要素ありますの!?」


「世界的大ニュースですわよ!?」


「新聞一面レベルだよ!?」


「解散ってどういうことですのぉぉぉぉぉ!!!!」


 ピスケの絶叫が音楽室中に響く。


「いや、だから。」


 リーチェはせんべいを一枚取り出す。


 ボリッ。


「解散。」


「ボリッじゃありませんわ!」


「世界中が大騒ぎですわよ!?」


「えー。」


(発表しないといけないの憂鬱だなぁ……。)


(こういう反応見ると。)


 ボリボリ。


「本人が一番他人事ですわぁぁぁぁ!!!」


「ミスティちゃん!」


「何か言ってくださいまし!」


「昨日聞いた。」


「終わりですの!?」


「昨日の電話。」


『ミスティーーーー!!』


『シリウス解散するから日本住むねー!』


『よろしくー!』


「それだけだった。」


「軽すぎますわぁぁぁぁ!!!」


「私も。」


『よろしく。』


「と返した。」


「会話が終わってますのよ!!」


 リーチェは首をかしげる。


「え?」


「十分じゃない?」


「十分じゃありませんわ!」


「記者会見案件ですわ!」


 その時。


 ブレェネリから一通のメッセージが届く。


『ニュース見た』


『世界中大騒ぎで草』


 リーチェは画面を見て吹き出した。


「あはは!」


「本人も草生やしてますわぁぁぁぁ!!!」


「あ、ついでにこの学園にも通うことになったから。」


「よろしくー!」


「Liveから三日だよね!?」


「フットワークが軽いってレベルじゃありませんわよ!?」


 リーチェは照れくさそうに笑う。


「えへへ。」


「勢いで決めちゃった。」


「勢いで人生決めないでくださいまし!」


 ミスティはため息を吐く。


「……こいつは昔からこんな感じだ。」


「世界レベル……ヤバいね。」


 ミソラは乾いた笑みを浮かべる。


「それで。」


 リーチェは真剣な表情になる。


「頼みづらいことではあるんだけど。」


「私も、このバンドに入れてくれないか?」


 音楽室が静まり返る。


「えっ……。」


「リーチェちゃんが……?」


 リーチェはゆっくり頷く。


「果たさなきゃいけない約束があるんだ。」


 その一言だけ。


 それ以上は何も語らなかった。


「……。」


 ミスティはその瞳を見つめる。


 少しだけ考えて。


「私は構わない。」


「リーダーはミソラだ。」


「決めるのは、お前だ。」


 三人の視線が、一斉にミソラへ向く。


「えぇぇぇっ!?」


「また私ぃ!?」


「リーダーですもの。」


「逃げられませんわ。」


「うぅ……。」


 ミソラはリーチェを見る。


 世界最高峰の魔奏少女。


 憧れの存在。


 そんな彼女が、自分たちと一緒に歌いたいと言っている。


「……。」


 やがて。


 ミソラは、にこっと笑った。


「もちろん!」


「よろしくね!」


「リーチェちゃん!」


「……ありがとう。」


 その笑顔は。


 シリウスのリーダーではなく。


 一人の"仲間"としての笑顔だった。


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