第8話 「それが君だ。」 その3
アノマリー襲撃から三日後。
「今日もミソラシュピーレン、練習しますわよー!」
「やるぞー!」
「致し方あるまい。」
「おー、よろしくたのーむ」
そこには見慣れない緑髪の少女が紛れ込んでいた。
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「……。」
「……。」
「……。」
「……。」
「なんでシリウスのリーダーが居ますのぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
ピスケの絶叫が音楽室中へ響き渡る。
「ハッハッハ!」
「しばらくこっちで世話になることになった!」
「今日からよろしくね!」
「いや!」
「シリウスはぁ!?」
「解散した。」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「ハッハッハ!」
「落ち着け。」
ミスティがいつもの調子で言う。
「落ち着ける要素ありますの!?」
「世界的大ニュースですわよ!?」
「新聞一面レベルだよ!?」
「解散ってどういうことですのぉぉぉぉぉ!!!!」
ピスケの絶叫が音楽室中に響く。
「いや、だから。」
リーチェはせんべいを一枚取り出す。
ボリッ。
「解散。」
「ボリッじゃありませんわ!」
「世界中が大騒ぎですわよ!?」
「えー。」
(発表しないといけないの憂鬱だなぁ……。)
(こういう反応見ると。)
ボリボリ。
「本人が一番他人事ですわぁぁぁぁ!!!」
「ミスティちゃん!」
「何か言ってくださいまし!」
「昨日聞いた。」
「終わりですの!?」
「昨日の電話。」
『ミスティーーーー!!』
『シリウス解散するから日本住むねー!』
『よろしくー!』
「それだけだった。」
「軽すぎますわぁぁぁぁ!!!」
「私も。」
『よろしく。』
「と返した。」
「会話が終わってますのよ!!」
リーチェは首をかしげる。
「え?」
「十分じゃない?」
「十分じゃありませんわ!」
「記者会見案件ですわ!」
その時。
ブレェネリから一通のメッセージが届く。
『ニュース見た』
『世界中大騒ぎで草』
リーチェは画面を見て吹き出した。
「あはは!」
「本人も草生やしてますわぁぁぁぁ!!!」
「あ、ついでにこの学園にも通うことになったから。」
「よろしくー!」
「Liveから三日だよね!?」
「フットワークが軽いってレベルじゃありませんわよ!?」
リーチェは照れくさそうに笑う。
「えへへ。」
「勢いで決めちゃった。」
「勢いで人生決めないでくださいまし!」
ミスティはため息を吐く。
「……こいつは昔からこんな感じだ。」
「世界レベル……ヤバいね。」
ミソラは乾いた笑みを浮かべる。
「それで。」
リーチェは真剣な表情になる。
「頼みづらいことではあるんだけど。」
「私も、このバンドに入れてくれないか?」
音楽室が静まり返る。
「えっ……。」
「リーチェちゃんが……?」
リーチェはゆっくり頷く。
「果たさなきゃいけない約束があるんだ。」
その一言だけ。
それ以上は何も語らなかった。
「……。」
ミスティはその瞳を見つめる。
少しだけ考えて。
「私は構わない。」
「リーダーはミソラだ。」
「決めるのは、お前だ。」
三人の視線が、一斉にミソラへ向く。
「えぇぇぇっ!?」
「また私ぃ!?」
「リーダーですもの。」
「逃げられませんわ。」
「うぅ……。」
ミソラはリーチェを見る。
世界最高峰の魔奏少女。
憧れの存在。
そんな彼女が、自分たちと一緒に歌いたいと言っている。
「……。」
やがて。
ミソラは、にこっと笑った。
「もちろん!」
「よろしくね!」
「リーチェちゃん!」
「……ありがとう。」
その笑顔は。
シリウスのリーダーではなく。
一人の"仲間"としての笑顔だった。




