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第3話「出鱈目なリズム」 その2


---


風鈴が鳴る。


縁側。


祖父が庭の手入れをしている。


https://51629.mitemin.net/i1200744/


「……じいちゃん。」


振り向かない。


「おぉ、帰ったか。」


昔と変わらない笑顔。


ミソラは泣きそうになる。


「じいちゃん……。」


「私……。」


「守れなかった。」


祖父は何も言わない。


「昨日は歌えば助けられたの。」


「でも今日は駄目だった。」


「みんな期待してくれてたのに。」


「私……。」


「怖くなっちゃった。」


「……。」


「やっぱり私なんかが魔奏少女になるべきじゃなかった。」


ここで初めて祖父が手を止める。


「……そうか。」


静かに立ち上がる。


---


龍玄の声が、静かに響く。


「……だから言ったろ。」


「魔奏少女なんてもんは、碌なもんじゃねぇ。」


その言葉が響いた瞬間、景色が溶けた。


気付けば、私は小学校の廊下に立っていた。


校庭からは、友達の笑い声が聞こえる。


「ミソラー! 一緒に鬼ごっこしよう!」


私は首を横に振る。


「ごめん! 歌の練習があるから!」


走り去っていく友達。


私は一人、音楽室へ向かった。


景色がまた変わる。


今度は中学校。


教室の隅では、友達同士が笑い合っていた。


「好きな人できた?」


「この前の映画めっちゃ良かったよね!」


「夏休みどこ行く?」


そんな輪の外で、私はイヤホンを耳につける。


何度も何度も、憧れの魔奏少女の歌を繰り返し流した。


──いつか、私も。


その一心だけで。


また景色が変わる。


高校。


「奏器適性、本日もゼロですね。」


機械的な声。


数字は、今日も変わらない。


0。


0。


0。


背後からクラスメイトが笑う。


https://51629.mitemin.net/i1200745/


「元気出しなよ。」


「ミソラが居てくれたら、私なんか安心するんだから。」


その言葉に、私は笑って返した。


「ありがと。」


……本当に、それでよかったのかな。


気付けば、また景色が変わっていた。


今の私。


魔奏少女になれた私。


だけど、その足元には。


遊べなかった放課後。


話せなかった恋の話。


友達との寄り道。


家族との時間。


歌だけを見て、置いてきた日々が、まるでガラス細工のように散らばっていた。


私は、その欠片を拾おうと手を伸ばす。


けれど。


触れた瞬間に、砕けて消えていく。


「……あ。」


後ろから、誰かが囁いた。


「それになんの意味があったの?」


「全部捨てて。」


「頑張って。」


「やっと魔奏少女になれたのに。」


「誰も助けてくれないじゃない。」


胸が締め付けられる。


息が苦しい。


膝をつく。


そして、震える声で呟く。


「……私。」


「なんのために、ここまで来たの…?」


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