第3話「出鱈目なリズム」 その2
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風鈴が鳴る。
縁側。
祖父が庭の手入れをしている。
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「……じいちゃん。」
振り向かない。
「おぉ、帰ったか。」
昔と変わらない笑顔。
ミソラは泣きそうになる。
「じいちゃん……。」
「私……。」
「守れなかった。」
祖父は何も言わない。
「昨日は歌えば助けられたの。」
「でも今日は駄目だった。」
「みんな期待してくれてたのに。」
「私……。」
「怖くなっちゃった。」
「……。」
「やっぱり私なんかが魔奏少女になるべきじゃなかった。」
ここで初めて祖父が手を止める。
「……そうか。」
静かに立ち上がる。
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龍玄の声が、静かに響く。
「……だから言ったろ。」
「魔奏少女なんてもんは、碌なもんじゃねぇ。」
その言葉が響いた瞬間、景色が溶けた。
気付けば、私は小学校の廊下に立っていた。
校庭からは、友達の笑い声が聞こえる。
「ミソラー! 一緒に鬼ごっこしよう!」
私は首を横に振る。
「ごめん! 歌の練習があるから!」
走り去っていく友達。
私は一人、音楽室へ向かった。
景色がまた変わる。
今度は中学校。
教室の隅では、友達同士が笑い合っていた。
「好きな人できた?」
「この前の映画めっちゃ良かったよね!」
「夏休みどこ行く?」
そんな輪の外で、私はイヤホンを耳につける。
何度も何度も、憧れの魔奏少女の歌を繰り返し流した。
──いつか、私も。
その一心だけで。
また景色が変わる。
高校。
「奏器適性、本日もゼロですね。」
機械的な声。
数字は、今日も変わらない。
0。
0。
0。
背後からクラスメイトが笑う。
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「元気出しなよ。」
「ミソラが居てくれたら、私なんか安心するんだから。」
その言葉に、私は笑って返した。
「ありがと。」
……本当に、それでよかったのかな。
気付けば、また景色が変わっていた。
今の私。
魔奏少女になれた私。
だけど、その足元には。
遊べなかった放課後。
話せなかった恋の話。
友達との寄り道。
家族との時間。
歌だけを見て、置いてきた日々が、まるでガラス細工のように散らばっていた。
私は、その欠片を拾おうと手を伸ばす。
けれど。
触れた瞬間に、砕けて消えていく。
「……あ。」
後ろから、誰かが囁いた。
「それになんの意味があったの?」
「全部捨てて。」
「頑張って。」
「やっと魔奏少女になれたのに。」
「誰も助けてくれないじゃない。」
胸が締め付けられる。
息が苦しい。
膝をつく。
そして、震える声で呟く。
「……私。」
「なんのために、ここまで来たの…?」




