第27話 VS 冷血の使役者 四天王 西園寺 妖
私はわざとらしく手を広げる。
「あー、思い出した。スナッパーってのは、あの不細工なワニガメの事か?すまん、正当防衛って奴だ。私が斬った!」
「お前!!――許さねえ!」
西園寺がドスの効いた声で吠えると、いきなり大蛇が頭から突っ込んでくる。
ギリギリ横っ飛びで避けたが、理瑚は盾で防いだものの、横の草むらにふっ飛ばされてしまった。
大蛇が激突したせいで、小屋のドア側の壁が崩れてしまっている。凄い破壊力だ。そこに、すかさず片目のヤモリが入り込むと、近くにいる猫に次々と襲いかかった。
「あぁ、クリコ!サビ助!――ネコちゃん達!いじめっ子をやっけて!」
望月 瑠奈が声を上げると、残りの猫達がヤモリに一斉に飛びかかる。
大勢の猫達に引っかかれたヤモリが、堪らず小屋を飛び出したところを、狙い澄まして剣を振る。
「ギャギャッ!」絞り出したような声を上げ、ヤモリは消え去った。
「あああー!レオポンまで!……この雑魚がぁ!」
怒り狂ったように、大蛇が右に左に大暴れする。小屋はもう、半壊状態だ。
「クソッ、これじゃあ――」
攻撃を仕掛けようにも、巨大な身体は動きも速く、押し潰されないよう、避けるのが精一杯だ。特に尻尾がどこから飛んでくるかわからない。見誤れば、一発でアウトだ。
しかし、西園寺の奴は、あんなに素早い大蛇の頭に乗って、よく落ちないな。地面に降りてくれれば、まだ攻撃も出来るのに。
私が攻めあぐねている中、猫達は素早く尻尾の攻撃を掻い潜り、勇猛果敢に飛びかかる。だが、硬い鱗には歯が立たず、次々と大蛇の餌食となっていった。
「あぁ、ネコちゃん……」
望月 瑠奈は小屋から出てきたものの、何もできずにベソをかいて立ち尽くしている。
「人よ!操っている西園寺さんの方を倒すのよ!」
倒れた柱の陰から白猫を抱いた委員長が叫ぶ。
確かに、西園寺さえ倒せばどうにかなるかもしれない。しかし、大蛇の頭に跨っている西園寺に、剣を届かせるのは至難だ。
その時、委員長の腕から白猫が飛び出した。 大蛇の尻尾を掻い潜り背中に飛び乗ると、頭を目指して走り出す。
「シロコ!」望月 瑠奈が叫ぶ。
西園寺が気付いた時には、もう遅い。シロコと呼ばれる白猫の鋭い爪が、西園寺の顔面を引っ掻く。
「アァ!?痛ェッー!」
西園寺は、堪らず大蛇から転げ落ち、地面に這いつくばる。
「ナイスだ、シロコ!」
私は一気に距離を詰めるが、西園寺が叫ぶ。
「ボルソン守れー!!」
大蛇がグルグルと西園寺を囲むようにトグロを巻き、鎌首を上げるが、構わずそのまま突っ込む。
動きの止まっている今がチャンスだ!
私は走ってきた勢いで大きく跳躍する。
「私の剣にィー斬れないものは無いッ!」
頭上から真っすぐに右手を振り下ろし、トグロの上から下まで一気に斬り裂いた。
「シャアァァー!」
大蛇は切断されバラバラになった――が、何故か頭の部分だけは消えずに、こちらに向かって来る。
「エッ!?」
「舞!危ない!」
咄嗟に、戻ってきた理瑚が間に入り、盾で蛇の頭の軌道を逸らす。
「ありがとう理瑚!」
「へへっ、少しくらい役に立たないとね」
目の前には、守るものがいない、無防備な西園寺 妖が膝をついている。
「ネコちゃん達!やられたネコちゃんの仇を取って!」
望月 瑠奈がそう言うと、シロコを始めとした、10匹程の残った猫が一斉に西園寺に飛びかかった。
「どうだ!僕のネコちゃん達の力は!ネコちゃんは強くて……」
その時――
「グサッ!」
空から降ってきた槍が望月 瑠奈を貫く。
「……カワイイん……だ……」そう言いながら望月 瑠奈は光の粒になって消えてしまった。すると、西園寺を襲っていた猫達も次々と消えていった。
傷だらけになりながらも、西園寺がゆっくりと立ち上がる。
「あー、痛かった……遅いじゃねーか」
「妖さんが蛇に乗って行っちまうからだよ。こっちは空の上でも歩く速度は変わらないんだ」
上空から西園寺に話しかける派手な着物を着た女は、東翔宮 凛!空を歩き、槍を投げる能力者。コイツが来てしまうとは!




