第13話 キザシ
「この世界って何なんだろうね?皆が能力でやり合うなんて、デスゲームかよってね!知ってるかな、クラスのヤンキーの鬼頭と中条さぁ、今日みたら廃人になってんのよ!多分この世界で誰かにやられたんだよ。あんな凶暴な2人もヤラれるぐらいなんだから、1人じゃ心細くてさぁ〜」
えっ、鬼頭と中条……私がやったなんて言ったら引かれるかな?でも、隠すのも意味ないし。
「あ、あのー、ヤンキーの2人?やったの私なんだ。もちろん正当防衛だよ!襲われたから、仕方無くやっただけで……」
私が躊躇いながら話すと、棚加 理瑚は驚いて声を上げる。
「マジでぇ!?スゲーじゃん!さっきの剣でやったって事?ヒーローじゃん!」
良かった、なんか喜んでくれてる。
目を見開いて尊敬の眼差しを向ける棚加に調子に乗って話す。
「ち、因みにバスケ部の2人にも襲われたので、それもやっつけたんだ……」
「ウワッ、スゲーよ、えっ?1人で4人もって事?向かうところ敵無しってわけ?」
興奮した理瑚が、私の右手をまじまじと見つめる。
「さっきの剣さぁ、出し入れ自由なの?ちょっと見せてもらってもいい?」
「えっ?いいけど」
私は軽く右手を振って「ズギャン」と剣を出現させる。
「うーわ、カッケ〜!これはモノホンだわ、切れ味も良さそうだね」
「ま、まぁね、何でも斬れると思うよ」
実際、イグアナだって、バイクだって斬れたしね。
「何でも斬れるか……もしかして、アタシの何でも防ぐ盾と合わせると、ちょうどいいんじゃない?良かったら、アタシと組んでくれないかな?」
「えっ!?」
思ってもみない提案だった。ボッチな私と組みたい人が現れるなんて。
でも、この棚加 理瑚って子、悪い子では無さそうだけど、私の能力を利用したいだけかもしれない。他の漫研の人達から狙われてるみたいだし。
「棚加さんは……攻撃手段がないから、私をあてにしてるだけなんじゃ……」
私が言いかけると、大袈裟に手を振って、口を挟む。
「誰でもいいってわけじゃないよ!もちろん、攻撃はお願いしたいけど、信用出来そうな人じゃないとさ!その代わり防御は任せてよ、必ず役に立ってみせるからさ!
そういえば、さっき私が夢の世界を制覇するんだー!とか言ってたよね?」
テンションが上がって、そんな事を口走った気がする。今になって恥ずかしくなってきた。
「アタシは夢の世界を制覇して望みを叶える?とか、正直あんまり興味が無いからさ、舞がその気なら協力するよ!ねっ!?」
う〜ん、なんか調子がいい気がするけど、ホークも仲間を作れって言ってたしね、ここは乗ってみるか。しかし、もう名前呼び捨てなんて、やっぱ馴れ馴れしい。
「わかった、仲間になろう。でも、漫研の友達が来たら、本当に戦うの?」
「次会ったら敵だって、宣言されてるし、あんなイっちゃってる奴等、もう友達じゃないよ。私の盾をバカにしてさぁ。こっちから返り討ちにしてやろうよ!」
「返り討ちって、攻撃するのは私だろうけどね。棚加さんは……」
「アタシの盾を信頼してくれていいよ!未海の連続パンチも紗里弥のエネルギー弾だって弾いたんだから!あと、呼び方、理瑚でいいからね、仲間なんだからさ!」
こうして、私にこの土地に引っ越して来てから、初めての仲間が出来た。夢の中だけどね。




