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ザィールにて
ザイールは美しい町だった。
入り口から眺めると緑が多く、奥の国王の城まで広い道が真っ直ぐに伸びていて、中程に広場があった。
一行は広場までやってきた。
広場には泉があって水がこんこんと沸き出し、広場の周りには食料や衣服や様々な物を売る屋台が軒を連ねていた。
いつもの様に憩いを求める人々や、買い物をする人々で広場は賑やかだったが、警備の兵隊の姿も数多く見られた。
「それじゃ、ここで別れるとするかの」
シュリ婆が口を開いた。
「わしと紫音様は、わしの孫夫婦の所におるでの。何
かあれば来ればええ。ツヅキが場所を知っとるから
後で聞くがええだ」
「わかっただ」
「婆様それじゃぁの」
皆はそれぞれ目指す場所へと向かっていった。
シュリ婆と紫音は連れ立って歩き出した。
「お婆さん」
紫音が話しかけた。
「私の事を親戚だなんて・・・ほんとの事を言ってくれても良かったのに」
「いや、いらぬ波風を立てることもあるまい。ここではわしの親類ということにしておこうぞ。さ、着いたぞえ」
シュリ婆はそう言いながら一軒の民家の前で立ち止まった。




