老婆の質問に答える
「どうやら・・・」
老婆が口を開いた。
「紫音様・・・と呼べばえぇんかのう。あんたの身体から出る紫色の霧の様な物には、人を治す力がある様じゃの。わしもさっきから、腰の痛みが無くなって、なんかしらこう・・・身体に力がみなぎってくるようじゃ」
「あんたはいったい何者なのかの?その特別な力を見れば、神様と呼んでもええように思えるが」
老婆は紫音にそう問いかけた。
「私は、神などではありません。目の前に苦しんでいる人がいて、私が助ける事が出来るから、自分の出来る事を精一杯しているだけです」
「それに、私に特別な力があると言うけれど、人は誰でも特別な力を持っているんですよ」
紫音は兄妹の妹に近寄り
「この子にも特別な力があります」
そう言って妹の頭を撫でた。
妹は不思議そうな顔で紫音を見上げた
「この子の笑顔が、そこにいるお父さんをどれほど癒し、勇気付けると思いますか?」
「それがこの子の力なんです。他の誰にも出来ないから、特別な力なんです。この子だけじゃなくて、他の人もその人にしか出来ない力を持っています」
「生命を持って生まれたものは、例え小さな虫でも役目を持っています。でなければこの世界に存在してはいません」
「この星にあるものは、小石でも一本の草でも、何かの為に誰かの為に必要だから存在しています。そしてこんなに多くの生命で溢れている中でひと握りの、こんな高度な人間というのは、特に役割が大きいのです。そこにいるだけで、何かに誰かに影響を与えているのだから、必要のない人間などはいる筈がありません」
「そしてするべき事を終えたものは、死という形で消えていきます」
「でも私は死なずに長い間さ迷っています。私の役割が終わるのは・・・終る時はくるのでしょうか?」
紫音は、最後に自問自答のように呟いた。




