城に招かれる5
その頃、王に仕える侍従医の部屋では侍従医と二人の男が応接の椅子に座って話をしていた。
「ハウラ様、それで今日その紫音という娘は城へやって来るのですか?」
「今ゼルダ王子が迎えに行っている筈だが、来るかどうかはわしにもわからぬ。が、おそらく来るであろう。ゼルダ王子はあれで押しの強い所があるからのぉ」
「それで、姫の病気は治せるのでしょうか?」
「それもわからぬわ。なにせ姫の病気は不治の病じゃ。原因もわからぬし手の施しようもない。ただわかっているのは、このままでは確実に姫は亡くなるという事だけじゃ」
「姫の病気が治れば、紫音という娘の信用は揺ぎ無い物になってしまいますぞ。そんなことになれば、わしらのところにやってくる患者は益々減っていくではないか」
「そうじゃそうじゃ。王様のことゆえ、姫のご病気が治れば何らかの形でその娘を引き立てるであろう。そうなればわしらは医者の看板を下ろして路頭に迷わねばならなくなってしまう」
「それはわしも同じ事じゃ。だから今どうしたものかと悩んでおる」
そう言って侍従医のハウラは腕を組み、考え込んだ。
二人の男達はハウラを見つめて口を開くのを待っていた。
「とにかく、その紫音という娘が来れば、わしも立ち会ってどんな娘か見てみようと思っておる。まぁ、わしに考えがある。お前達にも悪いようにはせんから任せておけ」
やがて二人の男はそれぞれハウラに挨拶を述べ部屋を出て行った。
ハウラはそのまましばらく考え込んでいたが、椅子から立ち上がると部屋を出ていった。
一方、紫音達は警護兵の敬礼を受けながら城門を通り抜け、城へ入り大広間に入った。
そして執事の出迎えを受けながら応接間に入り、王子の薦めで椅子に座った。
王子は
「ここで暫くお待ちいただけますか」
と言った後、執事に
「この方達にお茶を差し上げるように」
と言い置いて出ていった。
やがて出されたお茶を飲みながら、ぶすっとした顔をしているシュリ婆に紫音が口を開いた
「良いお部屋だね。お婆さん。」
「こんな所に来たのは初めてじゃ。良い部屋なんじゃろうが、ようわからんゎ」
「うふふ・・お婆さん何を不機嫌になってるの?」
「こんな所はわしには不釣り合いじゃ。落ち着かんわい」
「ふふ、お婆さんらしいわ。でも良いお部屋だわよ。豪華だけど無駄なお金はかけていないし」
「ふん・・そんなもんかの」




