城に招かれる4
紫音はゼルダ王子のそうした態度を好ましく思った。
「わしも行くぞぇ。ええじゃろうのぅ・・王子様」
「ふむ・・駄目だと言ってもついて来そうな顔つきじゃの。お婆様よ」
「はっはっは・・・わしゃこの娘の保護者じゃさけぇの。どこでもついて行くぞえ」
シュリ婆はそう言ってからゼルダ王子に近づき、小声で言った。
「この娘に手を出そうとしても、わしが許さんぞえ」
「な・何を言うのだ・・」
ゼルダ王子は、胸のうちを見透かされたようなシュリ婆の言葉にうろたえながら、シュリ婆と紫音を見た。
紫音はといえば、顔を赤くしてただ黙っていた。
シュリ婆はそんな紫音とゼルダ王子を交互に見ながら大声で笑った後
「しかし、午前中に来る者を待たせるのも可哀相じゃの。こちらから連絡して午後から来てもらった方がええが・・」
と言った
「それじゃ私の部下にその人達の所へ行かせましよう。それくらいのお手伝いはさせて下さい」
「おぉ、そうかえ。そうしてもらえれば助かりますぞ」
シュリ婆は午前中に来る患者の名前と住所を書き写し、それをゼルダ王子に渡した。
ゼルダ王子は共の者にその紙を渡し、紙に書かれた人達に事情を説明して午後から来てもらうよう伝える事を命令し、共の者はすぐに出て行った。
「それじゃ用意をしますので少し待っていただけますか?」
紫音がゼルダ王子に言った。
「わかりました。ご無理を言って申し訳なく思っております。」
紫音はゼルダ王子に少し微笑み、シュリ婆と一緒に奥へ入っていった。
やがて、着替えて出てきた二人とゼルダ王子は、城に向かって歩いて行った。
ゼルダ王子の着ている物は王族らしい豪華なものではなく、ごく普通の服装で王子と気づく者もおらず、王子もわざとそうしているようだった。
城への道々、紫音は王子から二人だけの兄妹である妹のレイカ姫が最近発病したことと、病気の原因も病名もはっきりとわからず、侍従医も手の施しようがないことなどを聞いた。
「それじゃゼルダ様も、さぞご心配のことでしょうね・・・」
「はい。私もですが、父も大層心配しておりまして、常々良い医者はおらぬものか・・・と話しておりました」
「私でお力になれればいいのですが・・」
紫音は国王の急な呼び出しと、ゼルダ王子の哀願するような態度がレイカ姫の為だったことに納得しながら言った。




