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紫音の少女  作者: 柊 潤一
宿命
20/75

城に招かれる3

 ゼルダ王子も


「貴女でしたか・・・」


 と言ったまま紫音を見つめた。


「何じゃ・・二人とも知り合いかえ?」


「いや・・そういうわけじゃ・・・」


「その節は失礼を致しました」


 ゼルダ王子が、すかさず紫音の言葉を引き取って言った。


 そして、城の庁舎で紫音を見かけた事を説明した後


「まさか貴女が紫音殿とは・・私を覚えていて下さった


 のですね」


「えぇ・・まぁ・・」


「それでこの国の王子様が何の御用事ですかの?」


 シュリ婆が用件を切り出さないゼルダ王子にじびれを

 切らせたように言った。


「え・・王子様?・・・」


「これは申し送れました。私はイシュタル国、国王の息子のゼルダと申します」


「そうだったんですか・・それで私に御用時とは?」


「実は紫音殿に、城までご足労頂きたいのです」


「ということは、どなたかご病気なのですか?」


「えぇ、詳しいことは申せませぬが・・・是非にもお越し願いたいと・・・国王ハシバの代理でやってまいりました」


「それはいつお伺いすればよろしいのでしょうか?」


「出来れば・・・すぐこれからでも」


 紫音はシュリ婆と顔を見合わせ、どうしたものかと思い迷っていたが、思い切ってゼルダに言った。


「国王様のお呼びでしたらすぐにも行かねばなりませんが・・・生憎患者が待っております」


「一頃よりはかなり減りましたが、それでもまだ新しく来られる方が何人かはいらっしゃいます。重病でない方は後日に日を指定して来てもらってますので、毎日そういう方の治療がありますから、すぐには行けないのです。」


「そこを何とか・・・お願いできますまいか・・」


 ゼルダ王子の高圧的ではなく、哀願するような言い方に紫音は心が動いた。


「では少し・・考えて見ましょうか・・・」


 そして予約の書かれた紙を見ていたが、やがて顔を上げて言った。


「じゃぁ、午前中に来る方は重病ではないので、その方たちには少し待っていただいて、今からお伺い致します」


「おお・・・そうして頂けると助かります」


 ゼルダ王子は深々と頭を下げた。

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