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『EMIRI 6』 ~三股してる?大親友のストーカー~  作者: 亨利(ヘンリー)


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第4章 監視映像

 早速翌朝、監視映像を入手してから、署に出勤した南刑事は、PC画面に映し出されたその動画を、念入りに確認していた。そこには奈美がコンビニに出かける様子が、薄暗い中ハッキリと写っていた。しかし、奈美の部屋がある2階には、カメラが向いておらず、部屋の様子までは写っていない。

 結局、奈美が帰宅するまでに、アパートに出入りした人物はいなかった。落胆している南の後ろから、北木刑事が、

「南くん。その時間以外に通行する人物で、2階を見上げるヤツが居いひんか、探してみ」

「あ、北木先輩、見てたんですか」

「うん。2階の部屋は写ってへんかったけど、画面の端がちょっと、点滅したみたいに見えてん」

「え? そうでした?」

「部屋の電気は、ホンマに点いたんとちゃうか?」

 二人がもう一度その場面を確認すると、確かに明かりが灯ったとも思えるような、僅かな光の変化があった。

「やっぱり、誰かが部屋に侵入したんでしょうか?」

「おもろい事件かもな。でもホンマやったら、絶対犯人捕まえなアカンで」

 東出警部補もその映像を見て、通行人ではなく、同じアパートの住人の犯行の可能性を示唆した。そして、南に捜査することを許可したのだった。


「じゃ。準備はOK?」

 郵便局の終業時間に、大原は奈美に近寄って、耳元で言った。

(やだぁ。打合せか)「はい、大丈夫です」

「じゃ、行こうか」

「え? ここでするんじゃないんですか?」

「何言ってんの? こんな味気ないとこで、打合せなんてやってられないでしょ」

 奈美は戸惑った。罠に嵌められたような気がする。

「じゃ、どこで?」

「いい店知ってるから、ついておいでよ」

 そのまま断る勇気もなく、奈美は大原の車に乗せられた。狭い軽自動車の前席で、奈美は警戒をさらに強めていた。

(大原さんから何かされたわけじゃないし、まさか部屋に侵入できるはずなんかないわけだし、私の思い過ごしだったら、失礼になっちゃう。でも・・・)

 身体をもぞもぞと窓側に寄せながら、大原の顔をチラ見すると、彼はムスッとした顔をしている。

(もう少しにこやかにしてくれたら、調子を合わすのに、こんな空気じゃ余計心配だわ)

 奈美は沈黙に耐えられなくなってきた。そこに、


 PPPPPPPPPPPP.PPPPPPPPPPPP.PPPPPPPPP…


「あ。電話。すみません、電話がかかってきちゃった」

 カバンからスマホを取り出すと、相手は『南刑事くん』の表示。

(助かった・・・)昨日の直電話の際に、その番号を登録していたのだった。

「あれ? なんだろ。・・・もしもし、井上です」

[井上さん。南です。今、大丈夫ですか?]

「はい、少しなら大丈夫です」

[監視カメラ調べたんですが、不審者が写っていました]

「本当に? え? そうなんですか?」

[今から写真を送るんで、心当たりないか、確認してもらえますか?]

「あ、はい」

[携帯アドレスに送ります]

 そう言うと一旦、電話は切られた。

「どうしたの?」

 大原が訊いた。

「ちょっと知り合いからです」

「彼氏?」

「そんなわけないじゃないですか」

「彼氏いないのか」

「ええ、まあ(汗)」

「でも、男に呼び出されたんじゃないだろうね?」

 大原の不愉快なセリフに、奈美は警察だと言うわけにもいかず、

「アパートの管理の人です」

 そして、すぐに送られてきたメールの添付ファイルを開いた。


(ん・・・? ・・・! ・・・!? ・・・!! ぎぇ~~~!!!)


 奈美は絶句した。暗くて顔はよく見えない。でもそこに映っている男は、隣で運転をしている大原に間違いなかった。

(・・・・・・予感的中・・・どうしよ!? 今最大ピンチっぽい)

 奈美は慌てて考えた。当然この場から逃げ出す方法を考えているのだが、何か言い出さないといけないと焦るばかりで、いい考えなど浮かばなかった。


 PPPPPPPPP・・・


「はい! 井上です!」

[あ。見てくれた?]

「は、はい! 確認しました!これは大変ですね! すぐに行かないといけませんね!」

 大原が横目で奈美を見たのを、雰囲気で感じたが、わざと演技を続けた。

[え? そんなに慌てなくてもいいですよ。この男が4回アパートの前を歩いてるんですが、4回とも2階を見上げてるんです]

「ええー! それは大変です! すぐ帰ります!」

[どうかされたんですか?]

「はい! 大変ですから!!」

[・・・ちょっと代わって・・・もしもし・北木です。井上さん、今トラブルに巻き込まれてるんじゃない?]

「そうかもしれません」

[まさか、写真の男と一緒?]

「そうです」

[その場を何とか離れられへん?]

「無理です。車の中です」

[保護が必要?]

「いえ、まだ、そんなわけでは・・・」

[電話代われる?]

「ムリー。だと・思・い・ます」

[アパートが水漏れで大変だとか言って、帰えしてもらえへんやろか!?]

「はい。そうします」

 奈美はスマホを耳から離して、大原を見た。

「あのう。お察しと思うんですが、アパートでトラブルが起こっちゃって、帰らないといけなくなったんですが・・・」

「えー? なんだよそれ。どんなトラブル?」

 大原は、鬱陶しそうに訊いた。

「水漏れです! いっぱいいっぱい。辺り一面、水浸しです」

「何とかなんないの?」

 大原の運転まで、荒っぽくなってきた。

「私の責任で、すぐに帰らないと」

「仕方ねえな。本当は別でも約束してたんじゃないの?」

「違いますよ」(でも、このまま車で送ってもらったら、ウソがばれちゃう)

[・・・もしもし!・・・井上さん!]

「あ、もしもし」

[聞こえてたわ。送ってもらったらマズイやんね。そこからアパートまで、どんくらいかかりそう?]

「あーー。20分かからないくらいだと思います」

[ほな、私らのほうが早く着ける。なるべくゆっくり帰ってきて]

「はい。分かりました。よろしくお願いします」

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