↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたがすき、だったから……。  作者: 友坂 悠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/54

幸せって。

「マオ、おきてる?」


 兄様と入れ替わりでお部屋に入ってきた母さん。


「うん。母さん」


「ん、大丈夫そうね」


「ごめんね、心配かけたよね……」


 母さん、ベッドに座ってるあたしのそばまできて隣に腰掛けて。

 あたしの顔を両手で包み込む。


「熱も、ないわね。ほんと、だいじょぶそう」


「ありがとう母さん、ほんと、大丈夫よあたし」


「まあでも、明日はちゃんとお医者さん行きましょうね。ほら、わたしが入院してた病院」


「うん、看護師さんたちにも会えるし、あそこなら嬉しい」


 そう。もう10年も毎日通っていたのだ。通わなくなってほんの数日だけれど、それでもなんだか懐かしい……。


「そうね。病院終わったらおばあちゃんのところに行きましょうか?」


「え!?」


「わたしの母さん。マオのおばあちゃんね。聞いたわよ。わたしが入院中に仲良くしてくれてたんだって?」


「だって、おばあさま、あんまりにも母さんそっくりなんだもの。親子だってすぐにわかったわ」


「ふふふ。おばあちゃんもね、マオがわたしにそっくりだって言ってたわよ。わたしの小さい頃そっくり、って」


 おばさまに、会える。

 そう思ったら、なんだかとても嬉しくて顔がほころぶ。


「もう、マオったら。じゃぁ今日はもう寝ましょうか。せっかくおばあちゃんに会いに行くのに、眠たくなっちゃったら嫌でしょう?」


「うん。でも、あたし、もう15歳なんだから。少しくらい夜更かししても大丈夫だけど」


「ふふ。生意気ね。でもわたしのほうがもう眠くてしょうがないわ。マオ、一緒に寝てくれる?」


「うん! 母さん!!」


 ガウンを脱いでお布団に入ってきた母さん。

 あたしをぎゅって抱きしめてくれる。


 その温もりが、なんだかとても心地よくて……。

 あたしはいつの間にか眠ってしまっていた。

 母さんの匂い。母さんの温もり。

 母さんのマナは、あたしのマナに溶ける。

 きっとあたしと母さんって、根っこの部分で繋がってるんじゃないかなって、そんな風に感じたところで意識が途絶えたのだった。



 その夜は、母さんとおばあちゃんと三人でお食事をしている夢を見た。

 とても楽しそうにしているおばあちゃん。

 おばあちゃんのことを優しい瞳で見つめる母さん。

 あたしも。そんな二人と楽しく会話しながら、目の前のお皿をつつく。

 幸せ。

 幸せってこういう感じなのかな。

 うん。きっとそう。


 あたしはすごく、幸せだ。


 ゆったりとした空気はバターの香りがして。


 ほんの少しだけ、この幸せな時間が崩れてしまいそうになるのが、怖かった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。