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あなたがすき、だったから……。  作者: 友坂 悠


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真っ白な、幽霊?

 初日と同じように、何となくお客さんな雰囲気で授業を終えたあたし。

 エーデルローゼは相変わらずあたしを睨んでくるし、ほかの生徒たちもあたしから距離をおいている。

 もうちょっとなんとか、とも思うけど、まずは遅れている学業の方をなんとかしなければまともに授業にも参加できない、と、思い返し。

 座学の方はそれこそわからないところを兄様や母さんにも聞けるから、きっとなんとかなるとは思うけど、問題は実技の方だった。


 他の子達がゲームを模した実践的な魔法の練習をこなしているのに対し、あたしは魔法の基礎の練習だけしかさせてもらえなかった。

 ただひたすら、水を移動させる練習、火をおこし、また消す練習。風をよび、止める練習。土を持ち上げ、また埋める練習。

 校庭の隅っこでひたすらそんな魔法の基礎の反復練習。


「あなたはマギアスキルが低いのですから、まずは魔法をコントロールするところから始めましょう」


 デルボア先生はこういって、あたしを他の生徒たちから離れた場所に誘導する。


「魔法というのは、それをいかにコントロールし思い通りの効果を出せるか、が、大事なのです。予期しない魔法の暴走で市民を傷つけてしまったら、取り返しがつきませんからね」


 まあ。

 それはわかるの、わかるんだけど……。


 あたしが「もう少しだけでも高度な魔法を教えてほしい」って言っても。

「あなたにはまだ早いわ」と聞いてもくれない。


 他の子たちはあんなにも楽しそうに飛び跳ねてるのに、なぁ……。


 そんな風にちょっと悲しい気持ちになって。


 もしかして、それもこれもあたしのマギアスキルがゼロだったから、なの?

 あたしには高度な魔法は無理だと思ってるの?


(大丈夫。マオ)

(マオ、あそぼ)

(ほらほら、マオ、もっと、もっと)

(マオ、こっち、こっち)


 慰めてくれるのは、アーク、バアル、アウラ、オプス、達だけ。

 基礎の基礎とはいえ、あたしはギアたちみんなが大好き。

 火も水も風も土も、あたしの思う通りに動いてくれる。

 それがとても嬉しくて。

 悲しかった気持ちも和らいでくれた。



 放課後。


 他の生徒たちがそれぞれが所属する課外サークルに出向く中。

 あたしは一人、グランドを横切り隣の廃校舎に向かって歩いて。


 今までこちら側にはきたことがなかったなぁとか思いつつ、古びた建物の入り口から中を覗く。


「すみませーん、大聖女サマー、いらっしゃいますかー?」


 薄暗くてちょっと怖くて、入口から中に向かってそう声を張り上げて。


 って、大聖女様の研究室ってこんなところにあるの?

 昨日は場所の地図(と言ってもほんと簡単な落書きのような地図だったけど)を渡され、とりあえず来てはみたけれど……。

 本当にここで良かったのだろうか?


 不安でしょうがない。校舎の中まで入る根性、ないよ……。


 もう泣きそうで。

 もう帰ろうか。

 って思い始めたとき、だった。


「あらあら、マオさんいらっしゃい」


 奥から、まるで幽霊のようにふわふわ浮かぶシーツがこちらに近づいてきて、そうのたまった。







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