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吸血鬼の始祖は主席として学生を演じる  作者: 小鳥遊の園
第一章
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第六話


 三年の()()に宣戦布告して一週間、遂にこの日がやってきた。

 今日は…何だっけ?名前は忘れたがトーナメントだかを見て学年代表同士で戦う日だ!


「おはようランフィア。いよいよだね」

「…おはようライル。いつにも増して爽やかで逆に怖いわよ」

「いやぁ、漸く先輩と戦えると思うと楽しみで」

「じゃあ主席のサフィラ様の相手は任せるわ。一年生と戦う時も主席同士で良いの?」

「そういえば、試合形式ってどんな感じなの?」

「そこからなのね…まずは一年生と二年生、次が一年生と三年生、最後に二年生と三年生の対決よ。試合形式は3対3で全員同時に戦う事になるから、陣形とか誰を相手にするかを決めておく必要があるわ」

「じゃあ先ずはエミリアを探そうか」


 俺達は今、学校を出て王立闘技場に向かっている。

 国のお偉いさん達を招いて貸し切って、デカいイベントを行う場所だ。

 つまり、教え子の誰かしらは来る事になるという非常に愉快な展開だな。


 王立闘技場は非常時の避難地にもなっていて、学校からは然程離れていないからすぐに着いた。

 入り口近くで見知った黒髪の小さい女を見つけたからそこへと向かう。


「おはようエミリア。今日は頑張ろうね」

「…おはよう…」

「三人集まったし、作戦でも立てましょう」

「提案があるんだけど良いかな?」

「あまり良い予感はしないけど、言ってみて」

「初戦の一年生は、最初二人でアイリスの相手をして、他の二人を俺が担当するでどうかな?」

「え?ちょっと待ってよ。一年生相手に二人掛かりってどうなの?」

「正直に言うと、アイリスの実力は魔力を見る限り二人より上だ。だから二人でアイリスを担当してほしい。後の二人は正直どうでも良いから、俺が適当に相手しておくよ」

「…聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするけど、ライルが言う事なら間違い無いんでしょうね。エミリアはそれで良いの?」

「…ん…頑張る…」

「下級生相手に先輩二人掛かりって情けないけど、仕方ないわね。三年生はどうするの」

「主席の先輩だけもらえれば、後は二人で好きに決めて良いよ」

「作戦も何も無いわね。じゃあエミリア、どっちが良いか話し合いましょう」


 二人が作戦会議しながら移動するので着いていく。

 学年代表の控え室に向かう途中、見覚えのある金髪ドリルがいた。


「おはよう二年生の皆さん。本日は良い戦いになるよう期待しているわ」

「態々待っていて下さるなんて優しいですね、先輩。今日は良い試合にしましょう」

「…お父様から、貴方には最大限に注意する事と、絶対に無礼な事を言わないようにと煩く言われたわ。一体何者なのかしら?」

「ただの学生ですよ。フューデンハイム公爵様とは以前色々とあっただけです」

「白々しい。良いですわ、私が勝った暁には全て話して頂きます」

「では俺が勝った時は、先輩の時間を1日頂いても?」

「良いでしょう。私にそんな大口を叩いた事を後悔させてあげるわ」


 去っていくサフィラを見送り控え室に入ろうとしたら、今度は反対側から更に見慣れた金髪美少女が。


「先輩方、本日は宜しくお願い致します」

「おはようアイリス。今日は相手してあげられないけど、お互い頑張ろうね」

「……仰っている意味が分からないのですが?に…ライル先輩は私のお相手をして下さらないのですか?」

「うん、最初はここにいる二人が君の相手だ。もしかしたら、少しくらい戦えるかもね」

「…そうですか。では、ライル先輩にもお相手して頂けるよう、全力を尽くしますわね」


 静かに、笑顔を崩さず、それでいて過去最高に拗ねて怒ったアイリスが去っていく。

 これは良い試合が期待出来そうだ。


「ねぇ、ライル。何で貴方はそんなにも相手を煽るのが好きなのかしら?」

「…二人…怒ってた…」

「その方が面白いからだよ。二人共頑張ってね、アイリスが本気出して苦戦するかもしれないから」

「ライルの所為でしょう!」


 頭を抱える二人を控え室に入れて俺も椅子に座る。

 ここから試合会場が一望出来るようだな。


『おはよう生徒諸君。校長のカトレスだ。今日は新学年となって初めての闘技大会だが、今出せるベストを尽くし、実りある1日にしてほしい』


 校長が挨拶してるみたいだが、頑なに俺の方は向かないようにしてるのが笑えるな。

 それと、貴賓席に何人か見知った顔がある。教え子達も子供を見守る立場になった事を実感して、何だか感慨深い。


『では本日お越し下さった方々を代表し、マリアンヌ第二王女様よりお言葉を賜りたく存じます』


 なに?マリアが来てるだと?

 確かに気配を探ってみるとマリアの気配を感じ取れる。今まで奥に控えてたのか。

 だが、今まで王女がこういうイベントに来たことなんてあったか?


『皆様、お早う御座います。本日は皆様の活躍を楽しみに拝見させて頂きますね。将来性のある方には、国から声が掛かる可能性も御座いますので、是非皆様のお力を示して下さい』


 …なるほど、バハラムから俺が居ると聞いたな?

 俺を引き抜こうと無理矢理出席したとなれば、迂闊な事は出来ねぇな。

 間違っても俺に個人的に話し掛けないよう後でマリアにコッソリ言いに行くか。


『マリアンヌ様、有り難う御座いました。ではこれより、新学年合同闘技大会を開催する!』


 ゾロゾロと一般生徒が入場して客席に挨拶した後控え室に戻っていき、トーナメントに従って各学年一組ずつ試合会場に上がる。

 円形状の闘技場の真ん中に三つの舞台があって、それぞれの学年が同時に戦うみてぇだな。

 試合時間は5分、場外か降参、または戦闘不能で決着と。

 この様子じゃ俺らの出番は最後だし、かなり時間が空くな。今の内にマリアの所に顔を出すか。


「ちょっと出歩いてくるよ」

「ライルが大人しく試合見てるとは思ってなかったけど、初戦からとはね。あまり遅くならないでよ?」

「分かってる。試合には十分間に合うように戻るから」


【認識阻害】で姿を隠して貴賓席へ。

 厳重な警備だが、俺からすりゃ穴だらけだな。


「マリア」

「っ⁉︎おじ様!」


 急に現れた俺に驚くと同時に抱き付いてくるか。殆ど反射の領域だな。


「一応聞くが、何でまたこんな行事に?」

「勿論、おじ様が居ると聞いたからです!」

「だろうな。言っとくが生徒を演じてる間は構ってやれねぇぞ」

「それくらいは弁えてますよ。私は生徒であるおじ様を見たかっただけです。主席の制服、とてもよくお似合いですおじ様」

「見た目だけなら若いからな。そう違和感無いだろ」

「学生のおじ様…あ!」

「はいストップ。その「あ!」は絶対碌なこと考えてないのは分かる」


 コイツの思い付きは本当に突拍子も無いから油断ならん。


「むぅ…学生に扮したおじ様相手なら、私が皆さんの前で求婚しても断れない状況になると思いましたのに」

「そんな事だろうと思ったよ。こんな老人に執着してないで年相応の相手を見つけろ」

「それが出来たら苦労しません。おじ様程見た目も性格も好みの方などおりませんから」

「はぁ…ほんっと物好きだなお前。こんな悪い男もそう居ねぇぞ?」

「嘘をついても無駄ですよ。おじ様は雑な物言いをする事で、人間が大好きな事を隠そうとする優しく可愛らしい方だというのは知っていますから」

「……敵わねえな。今度デートしてやるから、今日は大人しくしてろ」

「はい、分かりました。おじ様とデート出来るなら今日は良い子にしています」

「おう、素直なのは良い事だ」


 その後も暫くマリアの話し相手になりながら時間を潰す。

 最後に頭を撫でてやり、マリア専用の貴賓室を後にした。取り敢えずこれで今日の不安要素は取り除いたな。


 トーナメントは…今半分くらいか。

 意外と話し込んだな。そろそろ控え室に戻るとしよう。


「ただいま」

「あ、やっと戻ってきた。こんなに長くどこ行ってたのよ」

「ちょっと知り合いと話しにね」


 それから退屈だけどトーナメントを見学し、いよいよ俺達の出番だ。


「じゃあ行こうか」

「えぇ。頑張りましょう」

「…うん…」


 闘技場がデカい一つに交換され、一年生の三人、そしてその反対から俺達が登場する。

 はは、アイリスの奴かなり拗ねてるな。

 こりゃランフィア達は苦労するぞ。


『それではこれより、各学年上位三名同士の試合を開始する。まずは一年生代表、アイリス・フォン・ブラディウス。挨拶を』


 アイリスに拡声魔法の掛けられたマイクが渡された。

 というか、代表挨拶だと?そんなの聞いて無いぞ。


「主席って挨拶するの?」

「ちょっと、それも聞いてなかったの⁉︎」

「……うっかりさん…」


『本日は先輩方のお力を間近で体験し、己の糧とすべく、全力を持って臨ませて頂きます』


 おぉ怖い。目が笑ってないぞアイリス。


『続きまして、二年生代表、ら、ライル・コフィン・ヴァンピスタ…あ、挨拶をお願いし…挨拶を』


 ぶは!あまりに辿々しいぞカトレス!

 俺にもマイクが渡されたが、さて何て言おうか。

 煽りは三年に取っておきたいしな。ここは真面目を演じるか。


『学年に関係無く。互いに実りある試合になるよう、頑張ります』


「意外と普通ね」

「本命は三年に取っておかないとね」

「…程々にしてよ」


 マイクを返して開始の位置につき、校長の合図で試合が開始された。


「じゃあ二人共、かなり苦戦するかもしれないけど頑張ってね」

「不穏な言葉残していかないでよ!」


 だって初手からアイリスがぶちかます気満々だからな。


「【メテオフレイム】」


「いきなり上級魔法⁉︎本当に一年なの⁉︎」

「これは流石に厳しいね。俺が対処しとくよ」


【オリジンブラッド】:模倣・水属性・中級魔法


「【激流壁】」


 5mサイズの水の壁が現れてアイリスの魔法を受け止める。急激な蒸発と熱膨張による水蒸気爆発が起きた。

 辺りが霧のように覆われ視界が悪くなる。

 その間に他の二人を離しておこう。


「ちょっと向こうで遊ぼうか」

「「っ⁉︎」」


 二人の首根っこを掴んで投げ飛ばし、闘技場の端ギリギリで対峙する。ここは視界が晴れてるからコイツらも俺に集中出来るだろう。

 

 慌てて詠唱を開始してるが、その間に10回は倒せたな。

 まぁ暇潰しだから付き合ってやるか。


「【雷鳥の槍】!」

「【アースニードル】」


 雷属性の槍が飛んできて、下からは岩で出来た刺が飛び出してくる。

 弱いな。魔法の精度が粗すぎる。


「悪いけど、魔法使うまでも無いや」


 手で雷の槍を弾き、足で岩の刺を蹴り壊す。

 すげー驚いてるんだけど、流石にそこまで実力差無いとか思ってたのか?

 横から連続して衝撃音が聞こえるし、やっぱ加勢してやるか。

 

「向こうの二人が心配だから、早めに終わらせるけどごめんね」


【オリジンブラッド】:模倣・火属性・中級魔法


「【燃え盛る波】」


 火の津波って言えば分かりやすいか。

 場外に向かうように押し寄せる波は、そのまま二人を飲み込んで消えていった。

 二人は狙い通り場外へ落ち、火傷を治療してもらってる。


 さて、あの妹と二人はどうなってるかな。


「私だって兄様と戦いたかったです。最近お相手して下さらないから、今日こそはと思ってましたのに」


 何かブツブツ文句言いながら中級魔法を連発してるなぁ。

 ランフィア達は怒涛の魔法ラッシュに防戦状態か。


「お待たせ二人共、調子はどう?」

「どうもこうも、何なのあの子!本当に一年生か怪しいくらい強いじゃない!」

「あはは。どうやら俺をご指名のようだから、ここからは俺が相手をするよ」

「……も…限界…任せる」


「お待たせアイリス。今から俺が相手をするよ」

「に…ライル先輩!お待ちしておりました!」


 機嫌が治ったアイリスが怒涛の魔法ラッシュを終わらせると思ったか?

 むしろ自分の実力を見てもらいたくて更に激しいラッシュになるだけだ。

 しかも俺相手だから遠慮無く上級も使ってきやがる。


「ちょ、ちょっと…さっきより凄くなってない?」

「……ライル…」


 俺はその全てを相殺していくが、あまりここでド派手な試合が続くと、三年の主役がビビらなくなっちまうから、そろそろ終わらそうかな。


【オリジンブラッド】:模倣・闇属性・上級魔法


「【常夜の牢獄】」


 会場全体を闇のドームが包み、その中で発動していた魔法も、これから発動しようとしていた魔法も尽く霧散する。

 これは結界系の魔法で、この中で体外に出た魔力は全てこの結界に吸収される。

 相手が魔力を使えば使う程、結界はより長く維持されるという嫌な魔法だ。


「降参、してくれるかい?」

「はい、完敗ですライル先輩!」


 何でそんなに嬉しそうなんですかねぇ?

 久々に俺に相手してもらえて満足したようだな。

 魔法を解除して、アイリスが降伏宣言をした事で決着となった。


「私達、まだまだ努力が足りなかったみたいね」

「……ん…」


 ランフィア達が落ち込んでるかと心配したが、むしろ燃えてるな。

 向上心があるのは良い事だ。


「まだ二年生も始まったばかりだよ。これから強くなるさ。俺も協力するから」

「えぇ。頼りにしてるわ」


 次の一年対三年は、一年の他二人が回復しなかった為棄権となった。

 俺としても万全の状態で挑んでくれるならそれに越した事は無い。

 さっきと同じように代表同士の挨拶からだ。


『私達三年生は、本人の希望により全力を持って下級生に実力を思い知らせ、叩き潰す事を誓いますわ』


 貴賓席で絶望に打ち拉がれている奴がいるが、あれだけ言い聞かせたのに無駄だったようだな。


『俺達…いえ、二人を巻き込むつもりは無いので、俺はですね。俺は、学年や身分に関係無く驕りは身を滅ぼすということを、この試合でもって先輩にお教えする事を宣言します』


 会場全体が騒めき、後ろの二人、主にランフィアが盛大に溜め息を吐いた。


「貴方って人は本当に…どこまで相手の神経を逆撫ですれば気が済むのよ」

「主に怒ってるのはサフィラ先輩だから、二人は気にせず他の人と戦ってて」

「会場全体がもうそんな空気じゃないって言ってるんだけど、もう良いわ」


 何事も諦めが肝心だぞ。

 試合開始の合図で三手に分かれ、2組が闘技場の端と端で戦い始めた。

 真ん中には俺とサフィラだけが残り、互いに動かない。


「どうしたのかしら?先手は譲ってあげているのだけど」

「良いんですか?すぐに決着が着いちゃいますよ?」

「どこまでも減らず口を!良いから来なさい!」

「では遠慮なく」

 

 一瞬でサフィラの懐へ入り、【オリジンブラッド】で作り出した短刀を首筋に当てる。


「ほら、もう決着が着いちゃった」

「なっ⁉︎は、速…」

「流石につまらないので、今のは無しにしましょう」


 短刀を放り投げて元の位置へと戻る。

 サフィラは屈辱と驚愕で混乱してるな。

 追い込みを掛けるなら今だが、少しくらい攻撃させてやるか。


「ば、馬鹿にするのも大概になさい!【イフリート】!」


 お?これは精霊召喚魔法か。

 火の上級精霊を召喚するとは、腐っても学年主席だな。

 …だが悪いな。それはある意味最悪手だ。


「さぁ、お行きなさいイフリート!」

《……ア…アァ…》


 そりゃ無理だって。

 上位精霊はある意味人外種だ。その人外種の中でも、各種族の頂点の一人である俺に攻撃出来るかよ。


 あーあ、イフリートが本能的に恐怖して還っちまった。


「あ、貴方…本当に何者なんですの⁉︎」


 さて、ここからは二年主席のライル君じゃなく、この国を作り上げた一人としての教育時間だ。

 俺達二人だけにしか声が届かない結界魔法を掛けてっと。

 勝ってないけど、特別に俺が何者なのか教えてやるか。


「知りたいか?俺の正体が」

「な、何ですの急に…本性を表したわね!」

「確かに本性と言えば本性だがな。お前の親父があんなに警告したのに、お前は聞く耳を持たなかった。本来貴族のあるべき姿と振る舞いを忘れ、傲慢になったお前には教育が必要だな」

「ま、待ちなさい…何をするつもり⁉︎」


【オリジンブラッド】:模倣・時属性・超級魔法


「【終わらぬ夜の帳】」


 俺達を包む結界を更に覆う黒い結界を張った。


「今この中では、外の1分が1時間に変わる異次元空間が広がっている」

「時を操る魔法⁉︎そんなの、実在するはずが…」

「本当かどうかは終われば分かる。さて、覚悟は良いか」

「や、やめなさい!待って!貴方が只者じゃ無い事は分かったわ!今までの非礼はお詫びするから、それで許して!」

「そんな言葉で納得するとでも?俺だけに態度直しても意味ないんだよ。お前は俺達が()()()国で生まれたんだ、ならそれに相応しい振る舞いをしなきゃいけないだろ?」

「作った…?国を作ったなんて、何年前の話を…ま、まさか!」

「そう、この国の建国に携わった吸血鬼の始祖。それが俺だ」

「あ、有り得ないわ!だってあれは何百年も前の話で…貴方そんなに若いじゃない!」

「人外種を見た目で判断するなんて論外だぜ?これでも俺は六千年以上生きてる。学校にいるのは只の暇潰しだ」

「あ…あぁ。そんな…嘘…」


 恐怖で思考回路がバグったか?

 何も考えられないって顔してるぞ。

 このまま壊すのは教育者として失格だからな、しっかり正しい生き方ってのを教えてやらねぇと。


 結界の中でサフィラに貴族のあるべき姿を説き、何度も練習させて間違える度に罰を与えること20時間。

 及第点と言えるレベルになった頃には俺を始祖だと信じ、アイリスやマリアと同じくらい俺に盲目的な生徒になっていた。

 

 ……どうしてまたこうなった。

 

 俺が教育すると毎回こうなるんだよなぁ。

 男は俺に恐怖しながらも敬意を払う軍隊的な生徒になって、女は俺に恐怖する事なく懐いてくる。

 同じ事をして同じ内容を言ってるのに、男女でこの受け止め方の違いはなんだ。


 今嘆いてても仕方ねぇか。取り敢えず結界を解除っと。


「あ、出てきた。どうなったの?」

「無事に教育…もとい勝ったよ。そっちは?」

「なんか変な単語が聞こえた気がするんだけど?一応私達も勝ったわ。まさか三年の先輩よりアイリスさんの方が手強いなんてね」

「……驚き…」

「あの子は魔力見ただけでも相当な実力者だからね。そうなるよ」

「それはまぁ納得したけど…それよりも」


「ほ、本当に殆ど時間が経ってない。しそ…ライル様、本当に素晴らしい魔法でした。私の今までの非礼の数々、心よりお詫び申し上げますわ」


「あれ、どうなってるの?何があったらこんな短時間で人格まで変わるのよ」

「ちょっと実力行使で矯正しただけさ」

「それはちょっとって言わないし、先輩を矯正って…相変わらずやる事が非常識ね」


 それは散々言われてきた俺が一番理解してるさ。

 ここまで変わるのは予定になかったがな。




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