『夜のジャングルと、懐中電灯の魔法』
『夜のジャングルと、懐中電灯の魔法』
### 1. 司令官、夜間特殊装備を展開
「ユウくん、こっち。……ぼくのうしろを、はなれないでね」
夜の庭は、昼間とは違う「青黒いジャングル」です。ハル君は左手に懐中電灯、右手に虫かごを持ち、緊張で強張るユウ君の手を引いています。
「局長、夜間機動演習を開始。視認性低下。これより我々警備隊は、聴覚と嗅覚を最大出力にして周囲の動静を監視します。チビ殿、生垣の向こうの『ガサガサ』の正体を特定せよ!」
チビが、月光に瞳を金色に輝かせ、音もなくハル君たちの先を偵察します。
### 2. ルークの「光の道標」
生垣の向こうでは、ルークが月を仰いで鼻を鳴らしていました。
「コタロウ、見ろ! 闇とは、未知の物語が隠されている宝箱だ! ハル君、怖がることはない。私のこの白い毛並みが、暗闇の中でもお前の帰る場所を教える灯台になるだろう!」
アーサー先輩は、玄関のタイルにどっしりと伏せ、暗闇の中の小さな音を聴き分けています。
「ハル。暗闇を恐れるな。暗いからこそ、小さな虫たちの命の輝き(光)が見えるのだから」
### 3. 事件:黄金色の「宝石」発見
「……あ! ハルおにいちゃん、あそこ光ってる!」
ユウ君が震える指で、三代目ひまわりの大きな葉の裏を指差しました。
ハル君がそっと懐中電灯を向けると、そこには羽化したばかりの、透き通るような緑色のセミが、静かに翅を乾かしていました。
「ギィーッ! ターゲット捕捉! 命の神秘、レベル特級! 全員、呼吸を止めて静止せよ!」
ソラが柿の木の枝から、羽音ひとつ立てずにその奇跡を見守りました。
ハル君は、ユウ君の耳元で囁きました。
「あれはね、夜にしか見られない『宝物』なんだよ。……ぼくたちが守ってあげないとね」
### 4. 怖くない「夜のパトロール」
帰り道、ユウ君の足取りは軽くなっていました。
「ハルおにいちゃん、夜のパトロール、楽しいね」
「うん。こたぅがいてくれるから、全然こわくないよ」
ハル君は僕の首元をなで、暗闇の中でも僕の存在を確かめるように、ぎゅっと抱きしめました。
(ハル。お前がユウ君の勇気になったように、僕はいつだってお前の勇気の源でありたい。この暗闇も、僕たちにとっては心地よい陽だまりの続きなんだ)
### 5. 陽だまりの警備保障、夏季夜間偵察・完了
家に戻ると、サチコさんが冷えた麦茶を用意して待っていました。
「おかえりなさい。二人とも、いい探検ができたみたいね」
陽だまりの警備保障、真夏の夜間防衛任務・名誉終了。
ハル君の自由研究ノートには、今夜見つけた「緑色の宝石」の絵が、どの昼間のスケッチよりも丁寧に描き込まれました。
八巡目の夏休み、中盤。
ハル君とユウ君、そして僕たちの影が、月明かりの庭に長く伸びて重なり合っていました。
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