『プールの壁と、僕の「イヌかき」特別講義』
『プールの壁と、僕の「イヌかき」特別講義』
### 1. 指揮官、陸上でのシミュレーション
「こたぅ、……学校のプール、すっごく広くて、ちょっとこわいんだ」
ハル君が水着姿で庭に現れました。手には水泳帽とゴーグル。どうやら、まだ水に入る前に「心の準備」が必要なようです。
「局長、指揮官の心理的障壁を検知。ここは実戦演習が必要です。チビ殿、まずは水しぶきへの耐性訓練を!」
チビが、庭のバケツに入った水に前足をちょんちょんと浸し、「ほら、怖くないですよ」と言わんばかりにハル君の顔にピチャッと一滴、水を飛ばしました。
### 2. ルークの「ダイナミック入水」理論
生垣の向こうでは、ルークが架空の波を切り裂くような動きを見せていました。
「コタロウ、聞け! 水とは、もう一つの大地だ! ハル君、大事なのは『私は魚だ、いや、白いクジラだ!』と信じ切ることだ。私のこのダイナミックな毛並みが、水の抵抗を切り裂くイメージを持つのだ!」
アーサー先輩は、日陰から静かにハル君を見つめます。
「ハル。水は敵ではない。力を抜けば、水がお前を支えてくれる。僕たちの背中に身を預ける時のように、リラックスしなさい」
### 3. 事件:伝授!「コタロウ流・推進法」
ハル君はゴーグルを装着し、庭の芝生の上でバタ足の練習を始めました。
「バシャバシャ! ……こたぅ、これでいいのかな?」
僕はハル君の横に並び、伏せの姿勢から、前足を交互にゆっくり動かしてみました。
(ハル、見て。僕たちの秘技『イヌかき』だ。力まなくていい。水を優しく後ろに送るだけで、体は前に進むんだよ)
ハル君は僕の足の動きをじっと観察し、同じように腕を動かしました。
「……こう? ゆっくり、いぬかき……。あ、なんか、進める気がしてきた!」
### 4. 勇気の「青いキャップ」
「ギィーッ! 敵艦隊……ではなく、プールの25メートルラインを補足! 指揮官、突撃準備よし!」
ソラが物干し竿の上から、ハル君の進撃を促すように短く鳴きました。
ハル君は僕の鼻先に自分の手を合わせました。
「こたぅ、明日、プールのなかで『いぬかき』の魔法をかけてみるね。……もし沈みそうになったら、こたぅの声を思い出すから」
### 5. 陽だまりの警備保障、夏季水上任務・無事完遂
数日後、ハル君が「合格したよ!」と叫びながら帰ってきました。
「こたぅ! 顔をつけられたし、ちょっとだけ泳げたんだ! 先生が『ハルくん、スイスイだね』って!」
陽だまりの警備保障、潜水・航行支援任務・完了。
ハル君の髪からは、少しだけプールの消毒の匂いがしました。それは、彼がまた一つ、自分の「こわい」を克服した勝利の香り。
八巡目の夏休みは、もうすぐそこ。
三代目のひまわりは、ハル君がプールで上げた水しぶきを思い描くように、空に向かって黄金色の大きなパラソルを広げようとしていました。
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