『黄色い帽子の卒業式と、三年生の眼差し』
『黄色い帽子の卒業式と、三年生の眼差し』
### 1. 司令官、最後の「二年生パトロール」
「こたぅ、……ぼく、今日で『二年生』おわりなんだって」
ハル君が、少し寂しそうに、でも凛とした表情で僕の横に座りました。
この一年、彼はリレーで走り、九九を唱え、ユウ君の手を引いてきました。そのすべてが、今の彼の自信となって、背筋を真っ直ぐに伸ばしています。
「局長、指揮官の成長指数、計測不能なほど上昇しています。これより、現体制における最終巡回を開始。あ、チビ殿、ハル君の通知表の上で爪を研がないでください。それは名誉ある勲章です!」
チビが、ハル君の足元でゴロゴロと喉を鳴らし、これまでの労をねぎらっています。
### 2. ルークの「贈る言葉」
生垣の向こうでは、ルークが春の訪れを祝うように身震いしていました。
「コタロウ、聞け! 二年生という季節は、ハル君が『自分以外の誰か』のために強くなれることを証明した時間だった。ハル君、三年生になれば理科や社会が始まる。世界はさらに広がるぞ! 私もフェンスの向こう側まで、警備範囲を広げる準備はできている!」
アーサー先輩は、庭に芽吹いたばかりの小さな緑を見つめています。
「ハル。お前がユウに渡した種が、もうすぐ目を覚ます。お前が繋いだ優しさが、こうして形になるのだよ」
### 3. 事件:門の前の「黄色い帽子」
下校途中、ユウ君が門の前で立ち止まっていました。彼は自分の「黄色い帽子」を脱ぎ、大切そうに両手で抱えています。
「ハルおにいちゃん、……ぼくも、あしたから『にねんせい』?」
ユウ君の不安そうな声に、ハル君は一歩踏み出し、去年の自分を思い出すように優しく笑いました。
「うん。ユウくんは、もう立派な二年生だよ。黄色い帽子がなくても、ぼくたちがついてるから大丈夫」
「ギィーッ! 勇気の継承を確認! 第ニ世代、無事に進級準備完了!」
ソラが夕陽を浴びて、キラリと羽を光らせました。
### 4. 三年生への「黒い盾」の誓い
ハル君は、自分の黒いランドセルを僕の背中に預け、中身を整理し始めました。
「こたぅ、三年生になったら、習字もはじまるんだって。墨で汚れちゃうかもしれないけど……ぼく、がんばるね」
(ハル、汚れたっていい。それはお前が一生懸命、新しい世界に挑んでいる証拠だ。僕の毛並みも、お前の涙を拭くためにあるんだからな)
僕はハル君の頬を、ゆっくりと、一度だけ舐めました。それは、二年生をやり遂げた彼への、僕からの「はなまる」でした。
### 5. 陽だまりの警備保障、八巡目の春へ
夕暮れ、サチコさんが新しい学用品を準備する音が聞こえてきます。
庭の隅では、ハル君とユウ君が植えた二代目の種からこぼれた命が、三代目の芽となって、力強く土を押し上げていました。
陽だまりの警備保障、二年生防衛任務・完遂。
ハル君は、もう「黄色いカバー」を必要としない、立派な中学年としての顔をしていました。
八巡目の春。
桜の蕾が、ハル君の新しい門出を祝うように一斉に赤らんでいます。
僕たちの物語は、さらに広く、さらに深く、ハル君の成長と共にどこまでも続いていくのでした。
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