『湖畔の特別任務と、夜のテントの守護者』
『湖畔の特別任務と、夜のテントの守護者』
### 1. 輸送車両への積み込み
「こたぅ、わすれものない? ……ぼくのシュラフと、こたぅのボウルと……」
ハル君がリストを手に、パパの荷出しを一生懸命手伝っています。
「局長、後部座席のスペース確保完了。今回はルーク殿とアーサー殿が不在の留守番部隊(※サチコさんのご実家にて待機)となるため、我々『ハル・コタロウ・チビ』の3名が現地での全警備を担います。責任重大です!」
チビが、自分の移動用キャリーケースの中に真っ先に飛び込み、準備万端をアピールしています。
### 2. 湖の「水上警戒」任務
到着した湖は、キラキラと銀色に輝いていました。ハル君はさっそくライフジャケットを着用。僕も、パパが用意してくれた犬用のフローティングベストを装着します。
「こたぅ、おさかなさんいるかな? ……ぼくが、先に見つけるね!」
ハル君は、去年庭のビニールプールで練習した「顔つけ」を思い出し、今度は広大な湖に挑みます。
(ハル、あまり遠くへ行くなよ。僕がこのベストの取っ手を引いて、いつでも救助できるようにしておくからな)
### 3. 事件:夜の森の「不思議な音」
夜、キャンプ場のテントの中。ランタンの灯りが揺れ、外ではフクロウの声が響いています。ハル君は少し不安そうに、僕の首元の毛をぎゅっと握りしめていました。
「……こたぅ、いま、がさがさってした。……かいじゅうかな?」
「ギィーッ! ターゲット確認! 正体は……ただの食いしん坊なタヌキだ! 局長、威嚇の必要なし、『挨拶』程度で十分です!」
テントの支柱に止まっていたソラが、羽をバサバサと鳴らして教えてくれました。
僕は、ハル君の不安を溶かすように、一度だけ「フフッ」と小さく鼻を鳴らし、彼の頬をペロリと舐めました。
(ハル、大丈夫だ。あれは森の住人が『おやすみ』って言いに来ただけだよ)
### 4. 焚き火を囲んだ「秘密の会議」
パパが火を熾し、マシュマロを焼き始めました。ハル君は僕の隣に座り、火を見つめながらポツリと言いました。
「ぼく、二年生になって、電車も乗れたし、ユウくんも助けられたし。……こたぅがいれば、森の中も、もう怖くないよ」
二年前、雷の音に震えて僕の影に隠れていた小さな男の子は、今では暗闇の中でも「僕と一緒にいること」を強さに変えられる、立派な探検家になっていました。
### 5. 陽だまりの警備保障、キャンプ遠征任務・無事完遂
翌朝、湖畔の朝霧の中をハル君と散歩しました。
「こたぅ、来年は……ルークとアーサーも、いっしょに来れるといいね」
陽だまりの警備保障、野外特別警戒任務・完了。
ハル君の心には、庭のひまわりとはまた違う、雄大な「自然」という名のページが新しく書き加えられました。
七巡目の夏休み、終盤。
真っ黒に日焼けしたハル君の笑顔は、夕暮れの湖面よりもずっと眩しく、そして力強く輝いていました。
---




