『給食当番の試練と、庭の「配膳」シミュレーション』
『給食当番の試練と、庭の「配膳」シミュレーション』
### 1. 司令官の「おたま」特訓
「こたぅ、みて。……おつゆ、こぼさないようにするの、むずかしいんだよ」
学校から帰るなり、ハル君がおもちゃのおたまとバケツを持って庭に現れました。今日、学校でスープをよそう時に少し手が震えてしまったのが、悔しかったようです。
「局長、指揮官による液体物搬送演習を開始します。重力と表面張力の計算……ハル君、脇を締めれば安定感が増します!」
チビが、ハル君が水を運ぶ足元を「障害物」役としてちょろちょろと動き、実戦さながらの緊張感を演出します。
### 2. ルークの「食欲」コントロール
生垣の向こうでは、ルークがヨダレを飲み込みながら、ハル君の手元を凝視していました。
「コタロウ、聞け。給食とは、空腹の戦士たちに平等に糧を与える聖なる儀式だ! ハル君、一番大事なのは『おまけ』を誰にするかではなく、全員を笑顔にすることだ。……ちなみに、私の皿への配分はいつでも受け付けているぞ!」
アーサー先輩は、ハル君がバケツからコップへ水を移し替える様子を、審判のように静かに見守りました。
「ハル。落ち着け。お前の手は、みんなを元気にする魔法の手なんだ。慌てず、ゆっくりと注げばいい」
### 3. 事件:最大の難関「カレーの日」
ついにやってきた、学校のカレーの日。ハル君は白い割烹着に身を包み、大きな食缶の前に立ちました。
「ギィーッ! ターゲットはカレー! 粘度高し! 服への飛沫を警戒せよ!」
上空のソラがパトロール中に教室を覗いた(?)かのように、ハル君の心には緊張が走ります。
ハル君は、僕と練習した「呼吸法」を思い出しました。
(ハル、僕の尻尾が振れるリズムを思い出すんだ。イチ、ニ、の、サン、でよそうんだよ)
ハル君は一呼吸置き、おたまを深く入れました。一度もこぼさず、クラスのみんなの皿に、温かいカレーが均等に盛り付けられていきます。
### 4. 誇らしき「白い勲章」
放課後、帰ってきたハル君の割烹着袋からは、ほんのりとスパイシーな匂いがしました。
「こたぅ! ぼく、こぼさなかったよ! 先生に『じょうずだね』って言われたの!」
ハル君は、僕の鼻先に自分の手を近づけました。
「……カレーのにおい、する? こたぅも、たべたかった?」
(ああ、いい匂いだ。お前が立派に任務を果たした、勝利の匂いだよ)
ハル君は、僕の頭をなでながら、今日あったことを一つ残らず話してくれました。一年生の時は自分のことで精一杯だったハル君が、今ではクラスのみんなのために働く喜びを知ったのです。
### 5. 陽だまりの警備保障、食糧配分任務・名誉完遂
夕暮れの庭で、ハル君は二代目のひまわりに水をあげました。
「ひまわりさんも、ごはん(お水)の時間だよ。はい、どうぞ」
陽だまりの警備保障、給食防衛任務・完了。
ハル君の注ぐ水は、迷いなく真っ直ぐにひまわりの根元へと吸い込まれていきました。
七巡目の夏。
ハル君の手は、もう小さな震えを克服し、誰かを支え、誰かに分け与えるための「大きな手」へと変わり始めていました。
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