『放課後の入隊式と、秘密の「警備心得」』
『放課後の入隊式と、秘密の「警備心得」』
### 1. 緊張のホーム・パトロール
「ユウくん、ここが、ぼくんち。……で、これが、こたぅ!」
ハル君が少し得意げに、でも優しくユウ君の手を引いて庭に入ってきました。ユウ君はまだぶかぶかの黄色い帽子を握りしめ、大きな僕を見て少し後ずさりしています。
「局長、新人のスキャン完了。緊張による体温上昇を感知しました。ここは一番、『親しみやすさ』のプロトコルを発動すべきかと」
チビが、ユウ君の足元にトスッと体を擦り寄せ、喉をゴロゴロ鳴らして緊張を解いていきます。
### 2. ルークの「巨体の歓迎」
生垣の向こうでは、ルークがかつてないほど激しく尻尾を振っていました。
「コタロウ、見ろ! 我が組織に待望の『末っ子』だ! ハル君、ユウ君に伝えてくれ。この白いモフモフの壁は、何があっても彼を守る絶対防壁だと!」
アーサー先輩は、縁側でどっしりと構え、ユウ君を見つめました。
「ユウよ。この庭へようこそ。ここでは、どんな小さな『怖い』も、僕たちの鳴き声ひとつで飛んでいく。安心して遊びなさい」
### 3. 事件:伝承される「松ぼっくりの勲章」
ハル君は、自分のランドセルからあのお守りの「松ぼっくり」を外しました。
「これね、ぼくが一年生のとき、こたぅが見つけてくれたんだよ。ユウくんにも、あげる。……これ持ってれば、がっこう、もう怖くないから」
ハル君は、去年自分がしてもらったように、ユウ君の小さな手のひらにその勲章を乗せました。
「ギィーッ! 装備品の譲渡を確認! 勇気のバトン、受け渡し完了!」
ソラが空から祝福するように旋回し、その羽音が庭中に響きました。
### 4. 継承と、僕の「約束」
(ハル、いいのかい? それはお前の宝物だったじゃないか)
僕が鼻先でハル君の手に触れると、彼は僕の頭を力強く、でも柔らかく撫でました。
「こたぅ、だいじょうぶ。ぼく、もう二年生だもん。……こたぅが、そばにいてくれるから、勲章なくても、おにいちゃんだよ」
その言葉に、僕は胸が熱くなりました。ハル君は、形のある「お守り」を卒業し、僕との「目に見えない絆」を信じられるほどに成長していたのです。
### 5. 陽だまりの警備保障、新体制・発進
サチコさんが、三人(ハル、ユウ、コタロウ)に麦茶とお煎餅を出してくれました。
ユウ君はもう僕の背中にそっと触れられるようになり、ハル君と一緒に、庭の隅に芽吹いた「二代目のひまわり」の観察を始めました。
「こたぅ、あしたも、ユウくんといっしょに学校いくからね」
ハル君の瞳には、かつての不安は消え、誰かを導く者の光が宿っていました。
七巡目の初夏。
庭のひまわりは、去年のものよりさらに力強く土を掴んでいます。
僕たちの警備保障は、新メンバーを迎え、ますます賑やかで、ますます温かい「陽だまり」になっていくのでした。
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