『家庭訪問と、庭の「最高おもてなし」作戦』
『家庭訪問と、庭の「最高おもてなし」作戦』
### 1. 警戒レベル・マックス
「こたぅ、せんせいくるよ!……お部屋、きれいきれいにしなきゃ!」
ハル君が朝からソワソワと、自分のおもちゃを片付けています。いつもは脱ぎっぱなしの靴下も、今日は「証拠隠滅」と言わんばかりに洗濯カゴへ。
「局長、敵……失礼、査察官は午後2時に正門に到達予定。庭の景観維持も重要です」
チビが、ハル君が整頓したクッションの上を「最終検品」するように歩いています。
### 2. ルークの「親善大使」トレーニング
生垣の向こうでは、ルークがかつてないほど「上品な」お座りの練習をしていました。
「コタロウ、ハル君の先生に我々の防衛力の高さをアピールしつつ、かつ『この家は安全で平和である』というメッセージを送らねばならん。私はフェンス越しに、最高級の微笑み(サモエド・スマイル)を維持するつもりだ」
アーサー先輩は、縁側の特等席を先生のために空け、自分は一歩下がって控えています。
「ハル。お前が学校で頑張っていることは、先生が一番知っている。ありのままの『陽だまり』を見せればいいのだ」
### 3. 事件:先生を救った(?)「松ぼっくり」
ついにチャイムが鳴り、優しそうな女性の先生がやってきました。
ハル君は少し緊張して、サチコさんの後ろに隠れています。先生がリビングでお話を始めた時、僕はそっと先生の足元に近寄りました。
(先生、ハルはとってもいい指揮官ですよ。ほら……)
僕は、ハル君がさっきまで握りしめていた「お守りの松ぼっくり」が椅子から落ちているのに気づき、それを優しく口でくわえて先生の膝の上に乗せました。
「ギィーッ! 局長、ナイス・アシスト! 親善ギフトの贈呈だ!」
ソラがカーテンの隙間から、作戦成功を確信して鳴きました。
### 4. 先生の笑顔と、ハル君の言葉
先生は驚いた後、ふふっと笑いました。
「まぁ、ありがとうコタロウ君。……ハル君、これ、学校でも大切にしてる宝物だよね?」
ハル君は顔を真っ赤にしながら、でも勇気を出して一歩前に出ました。
「……うん。こたぅが、みつけてくれたの。……がっこう、こわくないよ、って。……だから、ぼく、せんせいにも、あげる」
ハル君は先生に、庭のひまわりの「種」をプレゼントしました。
それは、彼が守り、育て、そして未来へと繋ごうとしている「希望」そのものでした。
### 5. 陽だまりの「最高査察」完了
先生が帰る時、ハル君と僕は門のところまで一緒にお見送りしました。
先生はルークの頭を撫で、空を見上げてソラに手を振り、最後にもう一度ハル君の頭を優しく撫でました。
「ハル君の周りには、素敵なSPがいっぱいいるのね。明日も学校で待ってるわよ」
陽だまりの警備保障、家庭訪問対応任務・大成功。
ハル君は先生が見えなくなるまで手を振り続け、それから僕の首元をぎゅっと抱きしめました。
「こたぅ、……ぼく、あしたも、がんばれる!」
六巡目の初夏。
庭のひまわりは、ハル君の腰の高さまで成長し、大きな葉を広げていました。
学校という新しいフィールドでも、ハル君は自分なりの「陽だまり」を、一歩ずつ確実に広げているようでした。
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