『サンタへの極秘書簡と、僕らの「お返し」』
『サンタへの極秘書簡と、僕らの「お返し」』
### 1. 秘密の執筆活動
「こたぅ、……見ちゃだめだよ。これ、サンタさんと『おとこのこ』の約束だから」
ハル君が、クレヨンを握りしめて画用紙に向かっています。僕が覗こうとすると、小さな手で慌てて隠しました。
どうやら年中さんの頃に覚えた「翻訳機」や「自由研究」の経験を活かし、今年はかなり高度な要望書を作成しているようです。
「局長、偵察によれば、手紙の冒頭に『こたろう』という文字が確認されました。これは……警備予算の増額交渉でしょうか?」
チビが、机の端からハル君の筆跡をスキャンしています。
### 2. ルークの「トナカイ迎撃」演習
生垣の向こうでは、ルークが屋根の上の着陸地点を睨みつけていました。
「コタロウ、聞け。サンタ氏のソリは、静粛性に優れている。だが、私の鼻はトナカイの放つ『北極の冷気』を逃さない。ハル君の願いが確実に受理されるよう、私は当夜、全力でソリを誘導するつもりだ」
アーサー先輩も、静かに目を閉じて頷きました。
「ハルが、自分のためではなく、誰かのために筆を動かしている。……それが、この家の一番のギフトだな」
### 3. 事件:夜空に見つけた「赤い鼻」
クリスマスイブの夜。ハル君は、僕のためにサチコさんと編んだ「赤いセーター」の端切れで作った、小さな靴下を窓辺に吊るしました。
「こたぅ、サンタさん……ぼくのこと、わかってくれるかな?」
ハル君は僕の首筋に顔を埋めて、小さな声で言いました。
(大丈夫だよ、ハル。サンタさんは、お前がどれだけ立派な警備主任になったか、空の上からずっと見ていたはずだからな)
「ギィーッ! 雲の切れ間に未確認飛行物体……いや、一番星を確認! 視界良好だ!」
ソラが冬の星座の間をパトロールし、聖夜の安全を確保していました。
### 4. 枕元の「二つの包み」
翌朝。ハル君の歓声で目が覚めました。
「こたぅ! あった! ……ふたつ、あるよ!」
そこには、ハル君が欲しがっていた「宇宙図鑑」ともう一つ。見たこともないほど立派な、牛革で作られた「新しい首輪」が置いてありました。
そこには金色のプレートで、**『KOTAROU - SUNNY SECURITY』**と刻まれていました。
ハル君の手紙には、こう書いてあったそうです。
『サンタさんへ。ぼくは図鑑がほしいです。でも、いつも守ってくれるコタロウに、一番かっこいい首輪をあげてください。ぼく、もう一人で走れるようになったから、コタロウにお礼をしたいです』
### 5. 陽だまりの警備保障、新装備授与式
ハル君の手で、新しい首輪が僕に付けられました。
これまでの使い込まれた首輪も大好きだったけれど、この新しい首輪は、ハル君が僕を「守られる対象」ではなく「対等な相棒」として認めてくれた証のように感じました。
「こたぅ、……にあう! かっこいい!」
ハル君が僕の新しい首輪に、あの「松ぼっくりの勲章」を付け替えました。
陽だまりの警備保障、クリスマス特別防衛任務・完了。
雪が降り始めた庭で、僕は新しい首輪を誇らしげに鳴らして歩きました。
六度目の冬。
ハル君の心には、サンタさんも驚くほどの大きな「優しさ」が育っていました。
卒業までのカウントダウン。僕たちは、この新しい首輪を絆にして、最後の大舞台へと向かっていきます。
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### 【あとがき】




