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陽だまりのコタロウ  作者: じょんどぅ


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『最後のリレーと、アンカーに託された「バトン」』

『最後のリレーと、アンカーに託された「バトン」』


### 1. 朝の「決起集会」


「こたぅ、あーさー……ぼく、今日、いちばん最後、走るんだよ」

朝一番、ハル君は庭でコタロウとアーサー先輩を前に、キリッと胸を張りました。


クラス対抗リレーの「アンカー」。それは、一番の責任と勇気を必要とする大役です。ハル君の小さな手は少し震えていたけれど、その瞳には、かつてトラちゃんを助け、雪の中でひまわりを探した時と同じ「強い光」が宿っていました。


「局長、ハル君の心拍数が上昇中。これは緊張ではなく、高揚感によるものと推測されます」

チビが、ハル君の体操着の裾で爪を研ぎながら(彼なりの激励です)、静かに状況を報告しました。


### 2. ルークの「風になる」イメージトレーニング


生垣の向こうでは、ルークがかつてないほどのスピードで庭を往復していました。

「コタロウ、見ろ! このスピード、この加速! 走るとは、風を味方にすることだ。ハル君に伝えてくれ、私がフェンスのこちら側から、彼の並走者ゴーストとして全力で走ると!」


アーサー先輩も、ハル君の足元に鼻を寄せ、深く息を吐きました。

「ハルよ。バトンは重いのではない。みんなの『大好き』が詰まっているから、温かいのだ。お前はただ、その温かさをゴールへ運べばいい」


### 3. 事件:落としかけた「絆」


運動会本番。サチコさんが撮ってきたビデオには、手に汗握る場面が映っていました。

前の走者からバトンを受け取る瞬間、ハル君の手が少し滑り、バトンが地面に落ちそうになったのです。


「ギィーッ! 指揮官、体勢を立て直せ! 修正舵、一杯!」

空から見守ることはできないけれど、家で待つソラの叫びが届いたかのようでした。


ハル君は踏ん張りました。

彼は、僕と練習したあの「秘密のステップ」を思い出したのか、地面を強く蹴り、指先が触れたバトンをグッと掴み直しました。そして、顔を上げて走り出しました。


### 4. 庭の練習が「力」になる時


「……こたぅ、いっしょ! ……こたぅ、はしる!」

ビデオの中で、ハル君が小さく口を動かした気がしました。


彼は、僕の首にかけた「松ぼっくりの勲章」を思い浮かべていたのかもしれません。

順位は二位。けれど、前の走者を追いかけるハル君の足取りは、誰よりも軽やかでした。コーナーで外側に膨らまず、ルークと練習した通りの最短距離を駆け抜ける姿。


ゴールテープを切った瞬間、ハル君は空に向かって拳を突き上げました。

それは、一等賞の旗よりもずっと価値のある、自分自身の弱さに打ち勝った「勝利のポーズ」でした。


### 5. 陽だまりの「メダル授与式」


帰宅したハル君の首には、キラキラと輝く大きな金メダルがかかっていました。

ハル君は門をくぐると、まっ先に僕のところへ駆け寄りました。


「こたぅ! ……ぼく、おとさなかったよ! ……バトン、まもったよ!」


ハル君は、自分のメダルを僕の首に重ねてかけました。

「こたぅと、はんぶんこ。……いっしょに、はしったもんね」


陽だまりの警備保障、運動会完遂任務・完了。

夕暮れの庭で、僕とハル君は並んで座り、長い影を作りました。

ハル君の肩はもう、僕が初めて出会った時よりもずっと広く、頼もしくなっていました。


六度目の秋が深まっていきます。

次にやってくる冬を超えれば、ハル君はこの庭から、新しい世界へと羽ばたいていきます。

僕はその日まで、そしてその先もずっと、この「アンカー」の背中を守り続けると、月に向かって静かに誓いました。


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