『登校路の合同パトロールと、繋がれた信頼』
『登校路の合同パトロールと、繋がれた信頼』
### 1. 司令官の「極秘偵察」
「こたぅ、しゅっぱつ!……がっこうまで、パトロールだよ!」
ハル君が、ランドセル(の中にはタオルと松ぼっくり)を背負って宣言しました。
今日はサチコさんと一緒に、来年の春から通う小学校までの道を歩く「予行演習」の日です。僕は、ハル君の足元を固める「近接警護」として同行を許されました。
「局長、ルート上に危険な段差、および不審な野良猫の出現ポイントが多数予測されます。十分にご注意を」
チビが門柱の上で見送りながら、真剣な顔で尻尾を振りました。
### 2. ルークの「中継基地」エール
生垣の向こうでは、ルークがフェンス沿いに並走していました。
「コタロウ、聞け。私の計算によれば、学校までの道のりの約半分は、私の吠え声が届く範囲内だ。何かあれば、すぐに高周波(ワン!)で知らせる。……ハル君、背中がかっこいいぞ!」
ルークの力強い励ましを受け、僕たちは門を出ました。
アーサー先輩は、庭の真ん中でどっしりと座り、僕たちが帰るべき「本営」の守りを固めています。
### 3. 事件:横断歩道の「勇気の旗」
通学路には、大きな横断歩道がありました。
ハル君は、黄色い旗を手に取り、少し震える手でそれを高く掲げました。
「……右、みて。……左、みて。……こたぅ、いくよ!」
僕は、ハル君が旗を下ろすまで、その場に釘付けになったように止まり、車が完全に止まったのを確認してから、ゆっくりと彼の歩幅に合わせて歩き出しました。
(ハル、焦らなくていい。僕が横にいる間は、どんな風も、どんな車も、お前を驚かせたりはしない)
「ギィーッ! 道路横断、安全確認完了! 指揮官、実に見事なフラッグ・ワークだ!」
上空ではソラが、電柱から電柱へと飛び移りながら、僕たちの進路を確保していました。
### 4. 校門の前での「誓い」
ついに到着した小学校の大きな門。
ハル君は門の格子をぎゅっと握り、その向こうにある広い校庭を見つめました。
「……こたぅ、がっこう、……おっきいね」
(ああ、大きいな。でも、お前の勇気なら、この校庭もすぐに自分の『陽だまり』にできるさ)
ハル君は、ランドセルに付いた「はる・こたろう」のキーホルダーをそっと撫でました。僕も、自分の首元で揺れる同じ革の感触を確かめました。離れていても、この「絆の装備」があれば、僕たちはいつでも繋がっている。
### 5. 陽だまりへの凱旋
帰り道、ハル君の足取りは驚くほど力強くなっていました。
家が見えてくると、ハル君は僕のリードを優しく引き寄せて、耳元で言いました。
「……こたぅ、ぼく、一人で、いけるよ」
その言葉は、少し寂しくもあったけれど、それ以上に僕を誇らしくさせました。
僕が守ってきた小さな男の子は、もう、自分自身の力で新しい世界へ踏み出そうとしています。
陽だまりの警備保障、通学路確保任務・完了。
庭に帰ると、ひまわりがハル君の肩に届くほど大きく成長し、黄色い大輪の花を咲かせていました。
六度目の夏。
セミの声が響く中、ハル君は僕と一緒に、ひまわりの木陰で冷たい水を飲みました。
小学校へのカウントダウンが始まる中、僕たちの警備保障は、最高に輝かしい「完成形」へと近づいていました。
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