『二月の再会と、大きくなった「みゃう」』
『二月の再会と、大きくなった「みゃう」』
### 1. 門の外の「懐かしい匂い」
「ワン! ワンワン!」
僕は門の方を向いて、いつもより高い声で吠えました。不審者への警告ではありません。鼻先をくすぐる、あの「ミルクと紫陽花の匂い」を感知したからです。
「こたぅ、どうしたの? ……あ! トラちゃんだ!」
ハル君が窓にへばりついて叫びました。
門の外には、かつての「迷い猫」トラちゃんと、あの時の女の子が立っていました。
### 2. 成長の報告会
トラちゃんは、もうハル君の帽子に隠れるような小さな仔猫ではありませんでした。しなやかな体つき、堂々とした尻尾。立派な「青年猫」へと成長していました。
「ルーク、見ろ。あいつ、いい顔をしているな」
フェンス越しに、ルークが目を細めています。
「ああ。我々の『初期教育』が正しかったことが証明されたね、コタロウ」
チビも屋根の上から降りてきて、鼻先をトラちゃんに近づけました。
「ふん……少しはマシな男になったようだな。挨拶(鼻ツン)を許可する」
### 3. 事件:ハル主任の「おもてなし」
ハル君は急いで家の中に駆け込み、自分の宝物箱を持ってきました。
「トラ、これ! ……おぼえてる?」
ハル君が差し出したのは、トラちゃんが置いていった(落としていった)あの日泥だらけだった「松ぼっくり」でした。ハル君は、それをずっと大切に磨いて保管していたのです。
トラちゃんは松ぼっくりに鼻を寄せ、それからハル君の足元に体を擦り寄せました。
「みゃうー」
その声は、かつてのか細い鳴き声ではなく、再会を喜ぶ力強い「歌」のように響きました。
### 4. 継承される「お守り」
女の子が、ハル君に一通のお手紙をくれました。そこには、トラちゃんが毎日元気にしていることと、ハル君への感謝が綴られていました。
ハル君は、手紙を読み上げてもらうと、自分のセーターから一つ、赤い毛糸の端切れを抜き取りました。
「これ、……こたぅのセーター。……トラ、おまもりだよ」
ハル君は、その赤い糸をトラちゃんの新しい首輪に、結びつけてあげました。
かつてコタロウからハルへ、ハルからトラへ。そして今、また新しい「絆の糸」が結ばれたのです。
### 5. 陽だまりの「全軍」集結
その日の午後、庭には奇跡のような光景が広がりました。
僕、アーサー先輩、チビ、ルーク、ソラ、そして遊びに来たトラちゃん。
陽だまりの警備保障、全メンバーが揃ってのパトロールです。
サチコさんがその様子を写真に撮りながら言いました。
「ハルくん、年中さんもあと少しね。みんなで一緒に大きくなったわね」
陽だまりの警備保障、トラちゃん再会任務・完了。
トラちゃんが帰る時、僕は門のところまで見送りにいきました。
(またな、トラ。お前のナワバリも、しっかり守るんだぞ)
五度目の冬が終わり、庭のひまわりの種が、土の中で「もうすぐだ」と身震いしました。
ハル君は、いよいよ幼稚園の「年長さん」という、最高司令官への階段を登ろうとしていました。
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