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陽だまりのコタロウ  作者: じょんどぅ


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『白ふかふかの着陸場と、ハル主任の「教育論」』

『白ふかふかの着陸場と、ハル主任の「教育論」』


### 1. 暴走する「トラ・エンジニア」


元気を取り戻したトラちゃんは、まさに「動くいなずま」でした。

ハル君のズボンを登り、チビの尻尾に飛びつき、ついには僕の耳を甘噛みする始末。


「トラ! ……めっ! ……おすわり、だよ!」

ハル君が人差し指を立てて注意しますが、トラちゃんは「みゃう!」と一鳴きして、ハル君の黄色い帽子の中に隠れてしまいました。


「局長、あの新入り……なかなかの機動力ですね。僕の隠密行動が全く通用しません」

チビが、棚の上から翻弄される様子を苦笑いで見ています。


### 2. ルークの「サモエド・クッション」計画


生垣の向こうで、ルークがかつてないほど「準備万端」の姿勢で待っていました。

「コタロウ、解析によれば、トラちゃんのエネルギー発散には『広大な着陸場』が必要だ。……今こそ、僕の背中を開放する時が来た」


フェンスの扉が開くと、トラちゃんは一直線にルークへと突進しました。

そして、ルークの白くて深い毛の中に「ずぼっ!」とダイブ。


「……ふむ。まるで雲の中に吸い込まれるようだ。心地いいよ、コタロウ」

ルークは、小さな仔猫が自分の毛の中で溺れそうになりながら遊ぶのを、目を細めて受け止めていました。

アーサー先輩も、「若者は元気でいい」とばかりに、ルークの横で大きくあくびをしました。


### 3. 事件:消えた「お守りの松ぼっくり」


夕暮れ時、ハル君が血相を変えて庭に飛び出してきました。

「……ない! ……こたぅ、……まつぼっくり、ない!」


ハル君がトラちゃんのカゴに供えた「お守りの松ぼっくり」が、どこにも見当たりません。トラちゃんが遊び回っているうちに、どこかへ転がしていってしまったようです。


「総員、捜索開始! 指揮官の宝物を、日没までに回収せよ!」

僕の号令で、庭は一気に緊迫した空気に包まれました。


* **ソラ:** 夕闇の迫る上空から、木陰の「茶色い塊」をスキャン。

* **僕:** 鼻を地面に擦り付け、トラちゃんのミルクの匂いが付いた松ぼっくりを追跡。

* **トラちゃん:** 「なにしてるのー?」とばかりに、僕の鼻先に飛びかかる(妨害工作)。


### 4. 犯人は、紫陽花の根元に


「ギィーッ! 座標確認! 池のほとりの、紫陽花の茂みだ!」

ソラの誘導で駆けつけると、そこには泥だらけになった松ぼっくりが、カメくんの甲羅のすぐ横に転がっていました。


ハル君はそれを拾い上げると、服の裾で丁寧に泥を拭きました。

「……あった。……よかった」

そしてハル君は、その松ぼっくりを自分のポケットにしまうのではなく、トラちゃんの首元のリボン(サチコさんが付けてくれたもの)に、そっと触れさせました。


「トラ、……いっしょ。……こたぅと、いっしょだよ」


(……ハル、お前はもう、自分の宝物を誰かと分け合えるようになったんだな)


### 5. 陽だまりの「大家族写真」


その夜、庭にはサチコさんのご主人が設置した、新しい「外灯」が灯りました。

ハル君を中心に、僕、アーサー先輩、チビ、そしてルークの毛の中で眠りそうになっているトラちゃん。


サチコさんがその光景をカメラに収めました。

「はい、チーズ! ……本当に、どんどん賑やかになるわね」


陽だまりの警備保障、トラちゃん入隊試験・一次突破。

僕は、ハル君がトラちゃんを抱き上げて寝室へ向かう後ろ姿を見送りながら、自分の「初代松ぼっくり」を埋めたあの日のことを思い出していました。


四度目の夏。

警備の記録は、今や「守ること」から「共に生きること」へと、その色を変え始めていました。


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