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陽だまりのコタロウ  作者: じょんどぅ


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『水しぶきのファンタジアと、ずぶ濡れの警備隊』

『水しぶきのファンタジアと、ずぶ濡れの警備隊』


### 1. 庭に現れた「青い湖」


「さあ、ハルくん、お水遊びしましょう!」

サチコさんが庭に広げたのは、空のように青いビニールプール。ホースから水が勢いよく飛び出すと、ハル君は「あわわわ!」と声を上げて大興奮です。


コタロウは、少しだけ距離を置いてそれを見守っていました。

柴犬として、水は嫌いじゃない……けれど、あの「予測不能な水しぶき」は、警備局長としての冷静さを欠く原因になるからです。


「先輩、見て! ハルくんが、水の中にダイブしようとしてるよ!」

チビが縁側からハラハラしながら実況します。


### 2. ルークの「水域警備」システム


生垣の向こうでは、ルークがかつてないほど「キラキラ」した目でこちらを見ていました。

「コタロウ、解析によると、現在のハル君の興奮指数は平常時の200%に達している。水温25度、日照角度45度。……これは、僕の『水遊びスキル』を披露する絶好のチャンスだ」


「ルーク、お前の主人は?」

「今、サチコさんに呼ばれて、冷えたスイカを持ってそっちに向かっているよ!」


フェンスの扉が開けられ、ルークが庭に合流しました。サモエドの白い毛が、夏の光を反射して眩しく輝いています。


### 3. 事件:逃げ出した「黄色いアヒル」


ハル君が夢中で遊んでいると、お気に入りの「黄色いアヒル」のオモチャが、プールの縁を越えて、芝生の奥へと転がっていきました。


「あ! ……あ!」

ハル君がプールから這い出そうとして、濡れた足でつるりと滑りそうになります。


「危ない!」

僕は咄嗟に駆け寄り、自分の体をハル君の支え(ガードレール)にしました。

その隙に、アーサー先輩が悠然と歩み寄り、大きな口でアヒルを優しく救出。ハル君の目の前に「どうぞ」と差し出しました。


「ギィーッ! 完璧な連携だ!」

ソラが上空から翼で拍手を送ります。


### 4. 虹の下の合同演習


ハル君の笑顔が戻ると、今度はルークが「僕の番だ!」とばかりに、プールの横で勢いよく体を震わせました。

**「ブルブルブルッ!!」**


放たれた無数の水滴が、太陽の光を浴びて、ハル君の周りに小さな「虹」を作りました。

「にじ! ……あ、にじ!」

ハル君が初めて「虹」という言葉に近い音を発した瞬間でした。


サチコさんと隣の男性も、スイカを切りながら、その光景を眩しそうに眺めています。

「コタロウも、ルークも、本当にいいお兄ちゃんね」


### 5. 夏の日の「午睡ごすい


遊び疲れたハル君は、プールの横に敷かれたゴザの上で、僕の体を枕にして眠りに落ちました。

僕の夏毛はルークの水しぶきで少し湿っていたけれど、ハル君の体温を感じるには、それがちょうどいい「冷却システム」になっていました。


「先輩、夏って……ちょっと濡れるけど、最高にキラキラしてるね」

チビが僕の尻尾の先で丸くなります。


「ああ。でも、このキラキラを守り続けるのは、冬の寒さを守るより体力がいるな」


陽だまりの警備保障、ハル君成長記録・第四章「水域警備」完了。

ハル君の肌には、少しずつ健康的な日焼けの跡がつき、僕たちの絆は、夏の入道雲のように大きく、高く育っていました。


庭の隅の松ぼっくりは、打ち水を受けた土の匂いをさせながら、ハル君の寝顔を静かに見守っていました。


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