表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽だまりのコタロウ  作者: じょんどぅ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/101

『庭のサファリパークと、初めての「リード」』

『庭のサファリパークと、初めての「リード」』


### 1. 局長、役職交代?


最近のハル君は、朝起きると一番にコタロウの寝床へやってきます。

「こたぅ、あっち!」

小さな人差し指が指すのは、いつも庭へと続く窓。どうやらハル君の中で、僕は「外の世界の鍵」を開けるパートナーとして認識されたようです。


サチコさんが笑いながら、僕の古いリードを持ってきました。

「ハルくん、コタロウとお散歩の練習してみる?」


ハル君の小さな手が、僕のリードの持ち手をぎゅっと握りました。それは僕がこれまでに感じたどの力よりも弱くて、でも、これまでに感じたどの命令よりも逆らえない、魔法のような重みでした。


### 2. ルークの「合同パトロール」演習


「全隊員に告ぐ。ターゲット……いや、『若き司令官』が庭に降臨した!」

ルークがフェンス際で、まるで閲兵式えっぺいしきに臨む騎士のように姿勢を正しました。


僕とハル君は、ゆっくりと庭へ踏み出しました。

ハル君の歩幅は僕の肉球二つ分。僕は、ハル君が転ばないよう、一歩進むごとに自分の重心を低く保ち、ハル君がふらついた瞬間に「生きたクッション」になれるよう神経を研ぎ澄ませました。


「コタロウ、君の歩行スピード制御クルーズコントロールは完璧だね。エリートの僕でも見惚れるよ」

ルークもまた、ハル君がフェンスに近づくと、その大きな鼻先で優しく「行き止まりだよ」と教える連携を見せました。


### 3. 事件:茂みの奥の「怪獣」現る


庭の奥、紫陽花の影でハル君がピタッと足を止めました。

「あ! ……あ!」


そこには、夏を先取りしてやってきた、大きな「カマキリ」が鎌を振り上げて立っていました。ハル君にとっては、初めて見る「未知の怪獣」です。


ハル君が驚いて、リードを離しそうになりました。

その時、空からソラが急降下してきました。

「ギィーッ! 司令官、退くな! それはただの『庭の掃除屋』だ。だが、少しばかり礼儀を知らないようだな」


ソラの羽ばたきに驚いたカマキリが茂みへと去ると、僕はハル君の膝にそっと頭を預けました。

(大丈夫だ、ハル。怖いものは何もない)


### 4. 松ぼっくりの上の「初会談」


ハル君は落ち着きを取り戻すと、僕を連れて「あの場所」へ向かいました。

松ぼっくりが埋まっていて、スズランが咲き、青いビー玉が眠っていた、庭の心臓部。


ハル君はそこにぺたんと座り込み、小さな手で土をトントンと叩きました。

「……ん、ん!」


その時、アーサー先輩がゆっくりと歩み寄り、ハル君の反対側に座りました。

「コタロウ。ハル君は、この地の『精霊たち』に挨拶をしているのだ。彼は、ここが特別な場所だと分かっている」


ハル君と、柴犬と、レトリーバー。

三つの魂が、黄金色の陽だまりの中で重なった瞬間でした。


### 5. 陽だまりの警備保障、ハル君初陣完了


家の中に戻ると、ハル君は満足げに、僕のリードをサチコさんに手渡しました。

「こたぅ、……おん、おん!」

(コタロウ、また明日も行こうね!)と言っているのが、今の僕にははっきりと分かります。


ハル君はその後、僕の毛並みに顔を埋めたまま、ぐっすりと昼寝を始めました。

僕は、自分の足が痺れるのも構わず、ハル君の寝息のリズムに合わせて呼吸を整えました。


陽だまりの警備保障、ハル君成長記録・第三章「初パトロール」大成功。

これから夏が来て、秋が来て。

彼が走り出すようになった時、僕はこのリードを引く側ではなく、彼の隣を並走する「風」になりたい。


庭の隅では、新しい夏芽が、ハル君の成長を追い越そうとするかのように力強く伸び始めていました。


---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ