『小さな緑の盾と、庭のスクランブル発進』
『小さな緑の盾と、庭のスクランブル発進』
### 1. 指揮官、発芽状況を最終確認
「こたぅ、みて! 四代目の『あかちゃん』が出てきたよ!」
ハル君が庭の隅でしゃがみ込み、まだ土を被ったままの小さな芽を指差しました。四年生になったハル君は、理科の授業で習った「観察のポイント」を活かし、虫眼鏡で芽の様子を細かくチェックしています。
「局長、発芽を確認! 脆弱性レベル最大。これより周辺2メートルを『絶対保護区域』に指定します。チビ殿、その双葉を『猫草』と間違えて味見するのは断じて許可できません! 離れなさい!」
チビが、見たことのない新芽の匂いに興味津々で近づきますが、僕がその前に立ちはだかり、優しいけれど断固とした態度で進路を塞ぎました。
### 2. ソラの「対空迎撃」システム
柿の木のてっぺんでは、ソラが鋭い視線を空へと向けていました。
「ギィーッ! 高度15メートルに未確認飛行物体を捕捉! ターゲット、四代目の芽を照準中! これより迎撃パトロールを開始する!」
ソラが力強く羽ばたき、急降下。芽を狙っていた鳥たちを驚かせ、遠くへ追い払います。
「コタロウ、上空は任せろ! 一粒の芽も、この翼の下からは逃さない!」
### 3. ルークの「心理的防壁」
生垣の向こうでは、ルークが低く唸りながらパトロールを続けていました。
「コタロウ、聞こえるか! 野良猫たちの気配が路地の角まで迫っている。だが案ずるな、私のこの威厳ある足音で、庭に一歩も踏み込ませはしない! ハル君、芽が育つまで私が『見えない壁』になろう!」
アーサー先輩は、日向ぼっこをしながらも耳をピクピクと動かし、周囲の異変を聞き漏らしません。
「ハル。芽が出るまでは土が守ってくれたが、これからは太陽とお前が守る番だ。焦らず、ゆっくりと水をあげなさい」
### 4. 事件:初めての「支柱」設置
風が少し強く吹いた午後、ハル君は心配そうな顔をしました。
「こたぅ、風で芽が倒れちゃいそうだよ。ぼく、しいくいいんだから、ちゃんと守ってあげなきゃ」
ハル君は物置から細い竹の棒と麻ひもを持ってきました。まだ小さな芽に、優しく添え木をします。
「よし。これでだいじょうぶ。こたぅ、夜の間も見守っててね」
(ハル。お前が学校でウサギを守っている間、この庭は僕たちの天下だ。風も、鳥も、お前の「宝物」には触れさせないよ)
僕は、ハル君が立てた小さな支柱の横に、まるで僕自身の誓いを刻むように、前足をそっと置きました。
### 5. 陽だまりの警備保障、芽吹き防衛任務・継続中
夕暮れ時、ハル君とユウ君が並んでジョウロで水をあげています。
「ハルおにいちゃん、この芽、おおきくなったら太陽になるの?」
「そうだよ。三代目より、もっともっとキラキラした太陽になるんだ」
陽だまりの警備保障、初期発育支援任務・異常なし。
四代目のひまわりは、ハル君が立てた支柱に寄り添いながら、僕たちの愛情という名の光を浴びて、ぐんぐんと背を伸ばし始めています。
九巡目の初夏。
庭には新しい命の鼓動が満ち溢れ、ハル君の「高学年としての責任感」もまた、その芽と共に大きく育っていくのでした。
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