『黄金のバトンと、二人の小さなガーデナー』
『黄金のバトンと、二人の小さなガーデナー』
### 1. 指揮官、継承の「種」を御開帳
「ユウくん、みて。これが……去年ぼくたちが守った、ひまわりさんの種だよ」
ハル君が、首輪の裏や大切に保管していた封筒から、一粒一粒、種を取り出しました。四年生になったハル君の指先は、去年の今頃よりも少し長く、震えることもありません。
「局長、継承デバイス(種子)の展開を確認。これより土壌への埋設フェーズに移行します。チビ殿、ハル君が掘った『苗床』に、自分専用の『隠しおやつ』を埋め直すのは規約違反です。直ちに中止を!」
チビが、ふかふかの土の感触に誘われて穴を掘ろうとしていますが、僕が「ウゥーッ」と低く唸って制止しました。
### 2. ルークの「大地の咆哮」による激励
生垣の向こうでは、ルークが前足で地面を力強く叩いていました。
「コタロウ、見ろ! 命が土に還り、再び空を目指すこの瞬間の神聖さを! ハル君、ユウ君、お前たちのその手こそが、未来を創る魔法の杖なのだ! 土の神々に、私のこの咆哮を届けよう! ワォォォォン!」
アーサー先輩は、庭の特等席で静かに目を細めています。
「ハル、ユウ。種を植えるのではない。お前たちの『優しさ』を土に預けるのだ。そうすれば、花は勝手に、お前たちの色で咲いてくれる」
### 3. 事件:ユウ君の「緊張の一粒」
「ハルおにいちゃん、……ぼく、じょうずにできるかな?」
ユウ君が、小さな手のひらに種を乗せて、不安そうにハル君を見上げました。
ハル君は、優しくユウ君の手を包み込みました。
「だいじょうぶ。こたぅも、ぼくも、みんなみてるから。……せーの、で植えよう」
「ギィーッ! 共同作業開始! 深度3センチ、完全同期を確認!」
ソラが柿の木の枝から、二人の呼吸を合わせるように翼をはためかせました。
二人の手が土に触れ、三代目の種は、九巡目の春の眠りへとつきました。
### 4. 四代目のための「警備計画書」
植え終わった後、ハル君はノートを開き、ユウ君に説明を始めました。
「ここは水やり担当、ここは虫がこないかチェック。……しいくいいんのぼくが、やり方を教えてあげるね」
(ハル。お前、教え方まで立派になったな。ユウ君を見るその目は、まるで僕がお前を見守る時のように、温かくて、頼もしいよ)
僕は、二人の間に割り込んで、土を汚さないようにそっとハル君の頬を舐めました。
### 5. 陽だまりの警備保障、九巡目・播種任務完了
「こたぅ、ことしはね……庭じゅうをひまわりにするんだ。そしたら、お空からでも見えるでしょ?」
陽だまりの警備保障、命の継承任務・名誉終了。
二人が並んでジョウロで水を撒く姿は、まるで小さな二人の守護神のようでした。
九巡目の初夏に向けて。
土の下では、三代目の記憶を受け継いだ四代目の芽が、ハル君の成長に追いつこうと、静かに、でも力強く、殻を破る準備を始めていました。
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