『飼育委員の腕章と、庭の特別軍事顧問』
『飼育委員の腕章と、庭の特別軍事顧問』
### 1. 指揮官、高学年の証(腕章)を受領
「こたぅ、みて。これ、『しいくいいん』のしるしだよ」
ハル君が誇らしげに見せてくれたのは、腕に巻くための黄色い腕章でした。今までは自分の家のパトロールだけでしたが、これからは学校にいるウサギやニワトリたちの命も預かる「公務」に就くのです。
「局長、指揮官が『エリア・スクール』の生命維持担当に任命されました。これより、家庭内での先行訓練を実施します。チビ殿、ハル君が掃除の練習をするための『散らかし役』はもう十分です。ホウキを追いかけるのをやめなさい!」
チビが、ハル君が持ってきた掃除用具に大興奮。まるで新しい格闘相手を見つけたかのように、竹ぼうきの先と戦っています。
### 2. アーサー先輩の「リーダー論」
庭の木陰では、アーサー先輩が厳かにハル君を呼び寄せました。
「ハル。委員会とは、誰かのために動くことだ。ウサギたちは言葉を話せない。だからこそ、お前が『変化』に気づいてやらねばならないのだぞ」
生垣の向こうでは、ルークが自分を「学校の猛獣」に見立てて指導しています。
「コタロウ、聞け! 飼育の基本は、相手を畏怖させることではなく、信頼の橋を架けることだ! ハル君、私のこの威厳ある座り方を手本に、ニワトリたちの尊敬を集めるのだ!」
### 3. 事件:四代目の「先行偵察」
ハル君は、委員会で学んだ「土の耕し方」をさっそく庭で実践することにしました。
「こたぅ、学校のウサギさんの小屋も、こうやってきれいに掃除するんだって。四代目のひまわりを植える場所も、もっときれいにしなきゃね」
「ギィーッ! 土壌の酸素含有量、改善を確認! 指揮官、例の『種』の配備時期を策定せよ!」
ソラが電柱の上から、ハル君が掘り返した土を狙うカラスを威嚇し、完璧な防空圏を構築しています。
ハル君は、ポケットに入れていた「三代目の種」をそっと土に置くふりをして、イメージトレーニング。
「……よし。来週、ユウくんと一緒に植えるんだ。四代目は、きっと学校のひまわりよりも大きくするんだから!」
### 4. 成長の重み
「こたぅ、ぼくね、学校で『ハル先輩』って呼ばれたんだ」
ハル君が少し照れくさそうに笑いました。低学年の子から見れば、腕章を巻いた四年生のハル君は、立派な「頼れるお兄さん」なのです。
(ハル。お前が誰かを守る立場になったことが、僕はたまらなく嬉しいよ。でも、家ではいつでも僕に甘えていいんだ。お前の「お兄さん」の鎧を脱がせてあげるのが、僕の警備任務なんだから)
僕は、ハル君の足元に体をすり寄せ、彼の緊張を解きほぐすように低く喉を鳴らしました。
### 5. 陽だまりの警備保障、九巡目・委員会発足任務完了
「あしたは、ウサギさんの名まえをぜんぶ覚えるんだ。……こたぅ、いっしょに復習してくれる?」
陽だまりの警備保障、飼育支援任務・承認。
ハル君のノートには、学校のウサギの似顔絵と並んで、なぜか僕の「肉球サイン」も誇らしげに記されていました。
九巡目の春、全開。
四代目の種が土に還る日は、もうすぐそこまで来ています。ハル君が「先輩」として歩き出す姿を、僕たちは一番近くで見守り続けるのでした。
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