『九巡目の初日の出と、凍った土の約束』
『九巡目の初日の出と、凍った土の約束』
### 1. 指揮官、新年最初の状況報告
「こたぅ、あけましておめでとう。……九回目だね、いっしょに朝をみるの」
ハル君が、おろしたての厚手の靴下を履いて縁側に立ちました。その瞳には、新年の決意が静かに、でも熱く宿っています。
「局長、九巡目第1四半期、警備体制に異常なし。これより新春特別パトロールに移行します。チビ殿、門松を『巨大な爪研ぎ』と誤認してはなりません。あれは新年の防衛拠点です!」
チビが、キリリと冷えた空気の中で尻尾を膨らませながらも、ハル君の足元で「今年もよろしく」とばかりに頭をこすりつけました。
### 2. アーサー先輩の「高学年」への心得
庭の隅では、アーサー先輩が凍った水苔を静かに見つめていました。
「ハル。四年生になれば、自分のことだけでなく、学校全体、地域全体を見る目が必要になる。……お前ならできるはずだ。この八年間、ずっとこの庭を守ってきたのだから」
生垣の向こうから、ルークの威勢の良い声が響きます。
「コタロウ、聞け! 九巡目の風は、今まで以上に速いぞ! ハル君、高学年とは『背中で語る者』だ! 私のこの堂々たる立ち姿を、新学期の参考にしなさい! ワォォォォン!」
### 3. 事件:四代目のための「目覚めの儀式」
ハル君は、まだカチカチに凍っている花壇の土を、小さなシャベルでそっと撫でました。
「こたぅ。ここにね、もうすぐ『四代目』をうめるんだよ。……今はまだ寒いけど、ちゃんと土をふかふかにしておいてあげなきゃ」
「ギィーッ! 土壌温度、氷点下を継続! 物理的な耕作は困難ですが、指揮官の『心の熱』による解凍作業を開始せよ!」
ソラが青空を鋭く旋回し、春を連れてくる役目を自負するように鳴きました。
ハル君は、僕の首輪の裏に大切にしまってあった「三代目の種」を一度取り出し、手のひらで温めてから、またそっと戻しました。
「よし。春になったら、一番乗りで植えようね」
### 4. 成長の証:頼もしくなった背中
パトロールの途中、ハル君は近所のおじいちゃんに「明けましておめでとうございます!」と、自分から大きな声で挨拶をしました。帽子をとって、しっかりと目を見て。
(ハル。お前、いつの間にそんなに立派な挨拶ができるようになったんだ。僕の隣を歩く足音も、去年よりずっと力強いじゃないか)
僕はハル君の歩幅に合わせて、誇らしく胸を張りました。僕たちはもう、「助けてもらう」だけの存在ではありません。この町を守る、立派なチームなのです。
### 5. 陽だまりの警備保障、九巡目・始動任務完了
「こたぅ、ことしは『委員会』もはじまるんだ。ぼく、なにになろうかな?」
ハル君は、新しいランドセル(といっても、もうかなり馴染んだ相棒です)を思い浮かべながら、未来を語りました。
陽だまりの警備保障、九巡目・最初のパトロール完了。
庭の三代目ひまわりがいた場所には、今、新しい命を迎えるための「静かな期待」が満ち溢れています。
九巡目の春。
ハル君が四年生の門を叩くとき、僕たちの物語は、さらに深く、さらに豊かな色に染まっていくことでしょう。
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