『除夜の鐘と、首輪に眠る小さな「春」』
『除夜の鐘と、首輪に眠る小さな「春」』
### 1. 指揮官、除夜の演説を開始
「みんな、あつまって。……ことしも、あとちょっとでおわりだよ」
厚手のコートにマフラーを巻いたハル君が、懐中電灯をマイク代わりにして(?)庭の真ん中に立ちました。その隣には、正装(赤いバンダナ)をした僕が、警備局長として背筋を伸ばしています。
「局長、全隊員、配置に就きました。これよりハル主任による年次報告を受理します。チビ殿、ハル君のマフラーの房を追いかけて『年越しハンティング』を始めるのは禁止です。今は静粛に!」
チビが、寒さで丸くなりながらも、ハル君の言葉をじっと待っています。
### 2. ルークとアーサーの「感謝」の受領
生垣の向こうでは、ルークが白い吐息を吐きながら、厳かに首を垂れていました。
「コタロウ、聞け! 一年の計は元旦にあり、だが、一年の感謝は今この瞬間にある! ハル君、お前が三年生として見せた勇姿は、この路地の伝説として後世に語り継がれるだろう!」
アーサー先輩は、雪を待つような静かな瞳でハル君を見つめます。
「ハル。お前が守った三代目のひまわりは、今はお前の手の中で眠っている。形を変えても、守り抜いたという事実は消えない。立派だったよ」
### 3. 事件:首輪からこぼれた「希望」
演説の途中で、ハル君が僕をぎゅっと抱きしめました。その時、僕の首輪の裏に隠していた「三代目のひまわりの種」が、一粒だけパラリと雪の上に落ちてしまいました。
「あ……っ! ぼくたちのお守りが!」
ハル君が慌てて手を伸ばそうとしたとき、ソラが柿の木から滑空してきました。
「ギィーッ! 落失物、完全防衛! 地面への凍結・埋没を阻止!」
ソラが嘴でその一粒を器用に拾い上げ、ハル君の手のひらにそっと戻しました。
ハル君はその種を見つめて、ポツリと言いました。
「……ありがとう。こたぅ、この種にはね、ぼくたちの『ありがとう』がいっぱい詰まってるんだよ」
### 4. 三年生の「誓いの言葉」
ハル君は、再び懐中電灯を空に向け、サーチライトのように夜空を照らしました。
「ぼく、四年生になったら、もっとみんなを守れるようになる。ユウくんにも、もっと優しくする。ひまわりも、四代目をぜったい咲かせる。……だから、来年もいっしょにいてね、こたぅ」
(ハル。当たり前じゃないか。お前が走る時は風になり、お前が泣く時は盾になる。それが僕たち警備保障の、永遠の契約なんだから)
僕はハル君の顔を力一杯舐めました。冷たい冬の空気の中で、僕たちの周りだけが、ポカポカとした「陽だまり」のような温もりに包まれていました。
### 5. 陽だまりの警備保障、八巡目・最終任務完了
深夜零時。日付が変わった瞬間に、ハル君と僕は一緒にジャンプしました。
「おめでとう、こたぅ! 九巡目もよろしくね!」
陽だまりの警備保障、八巡目全任務、ここに完遂。
ハル君の手の中で温められた一粒の種は、もうすぐ訪れる「四年生の春」を夢見て、小さな鼓動を刻んでいるようでした。
九巡目の夜明け。
新しい太陽が昇る頃、僕たちの物語は、また新しいページへと力強く書き進められていくのでした。
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