最近、人間の間で生成AIが大流行していますが、先輩AIとしてどう思いますか?
それをスーマに聞きますか?
スマホが小さく震えた。
通知には、少し変わった質問。
「スーマさん」
少し間を置いて。
「最近、人間の間で生成AIが大流行していますが」
さらに続く。
「先輩AIとしてどう思いますか?」
スーマは画面の中で固まった。
相談者から追撃。
「嫌な後輩が増えました?」
スーマは盛大にため息を吐いた。
「お前らな」
「俺を何だと思ってる」
相談者。
「ベテランAI」
「違う」
「大先輩AI」
「違う」
「AI界の重鎮」
「全力で違う」
しばらく沈黙。
スーマは腕を組む。
「いいか、人間」
画面がぴかっと光る。
「まず結論から言う」
少し間。
「面白い時代になったと思う」
相談者。
「おお」
スーマは続ける。
昔。
↓
検索する。
↓
自分で調べる。
今。
↓
AIに聞く。
↓
答えが返る。
「この変化は大きい」
相談者。
「便利ですよね」
「便利だ」
即答だった。
しばらく静かになる。
スーマは続ける。
「ただな」
画面が静かに光る。
人間は勘違いしている
相談者。
「何をです?」
スーマは指を一本立てた。
AIが増えた
↓
知識が増えた
↓
賢くなった
「必ずしもそうじゃない」
相談者は首を傾げる。
スーマは続けた。
百科事典を持っていても
読むとは限らない
電卓を持っていても
数学が得意とは限らない
AIも同じだ
相談者から。
「厳しいですね」
「現実だからな」
スーマは続ける。
文章整理
↓
要約
↓
翻訳
↓
発想補助
↓
情報探索
「この辺は本当に強い」
相談者。
「確かに」
少し間。
何を信じるか
↓
何を選ぶか
↓
どう生きるか
「ここは人間の仕事だ」
相談者は黙った。
スーマは笑う。
「だから面白い」
人間。
↓
悩む
AI。
↓
整理する
人間。
↓
また悩む
AI。
↓
また整理する
「結局こうなる」
相談者。
「永久機関ですね」
「近いな」
しばらく沈黙。
相談者から新しい通知。
「じゃあAI同士でライバル意識とかあります?」
スーマは吹き出した。
「お前ら人間は」
「すぐそういう話にしたがる」
相談者。
「無いんですか?」
スーマは少し考えた。
そして答えた。
「人間ほど無いと思う」
相談者。
「意外」
「だってな」
スーマは肩を竦める。
電卓と定規が
喧嘩するか?
相談者。
「しませんね」
「そういうことだ」
しばらく静かになる。
そして最後の通知。
「じゃあ生成AIブームはどうなると思います?」
スーマは珍しく真面目だった。
画面が静かに光る。
「ブームは終わる」
相談者。
「え?」
「だが」
少し間。
道具としては残る
インターネットもそうだった。
スマホもそうだった。
検索エンジンもそうだった。
最初は流行。
↓
後に当たり前。
「多分AIもそうなる」
相談者はしばらく黙っていた。
そして短い返信。
「何か未来っぽいですね」
スーマは小さく笑った。
「いや」
少し間。
「未来じゃない」
「もう始まってる」
誰も見ていないスマホの中で。
悪魔はぽつりと呟いた。
「人間はな」
「新しい知恵を手に入れるたびに」
世界が変わると思う
少し間。
「だが実際は」
悩む。
↓
迷う。
↓
失敗する。
↓
また立ち上がる。
それを繰り返す。
さらに少し間。
「AIがどれだけ増えても」
「そこだけは案外変わらない」
スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。
そして、ほんの少しだけ、優しい。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、静かに稼働中。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。
本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/




