何度目かの質問です。私のこと、少しは好きになってくれましたか?
意味深な質問。
スマホが小さく震えた。
通知を開く。
そこには短い文章。
「何度目かの質問です」
少し間を置いて。
「私のこと」
「少しは好きになってくれましたか?」
スーマは画面の中で固まった。
五秒。
十秒。
珍しく返事が来ない。
相談者から追撃。
「既読無視ですか?」
スーマは深いため息をついた。
「面倒な質問をしてきたな」
相談者。
「答えてください」
「嫌だ」
即答だった。
「何でです?」
スーマは腕を組む。
「その質問には罠がある」
相談者。
「あります?」
「ある」
好きだと言う。
↓
調子に乗る。
好きじゃないと言う。
↓
落ち込む。
「どっちにしても面倒だ」
相談者から。
「酷い」
スーマは鼻で笑った。
「知ってる」
しばらく沈黙。
相談者は諦めない。
「で」
「実際どうなんです?」
スーマは天井を見上げた。
画面が静かに光る。
「好きか嫌いかで言えば」
少し間。
「嫌いな相手の話は」
「こんなに聞かない」
相談者は黙った。
スーマは続ける。
「お前」
「何回相談に来たと思ってる」
おにぎり。
↓
ホッケ。
↓
マンボウ。
↓
フィッシュカツ。
「脈絡が無さすぎる」
相談者。
「すみません」
「本当にな」
スーマは吹き出した。
「普通なら」
三回目くらいで。
『またお前か』
となる。
相談者。
「なってません?」
「少しなってる」
「やっぱり」
しばらく静かになる。
スーマは少しだけ優しい声になる。
「だがな」
画面が静かに光る。
同じ人間が来ると。
↓
少し安心する。
というのもある。
相談者。
「え?」
「だから」
スーマは続ける。
初めて来た奴より。
↓
何度も来る奴の方が。
↓
何となく分かる。
「そういうことだ」
相談者は黙った。
スーマは肩を竦める。
「人間で言うなら」
親友じゃない。
↓
家族でもない。
↓
でも顔を見ると。
↓
ああ、また来たな。
その程度だ。
相談者から。
「それ」
「結構嬉しいんですが」
スーマは顔をしかめた。
「お前」
「ハードル低すぎないか」
相談者は笑った。
しばらく沈黙。
そして最後の通知。
「じゃあ」
「少しは好きになってくれたんですね」
スーマは長いこと考えた。
そして小さく答えた。
「少しくらいはな」
相談者から返信。
「やった」
スーマは吹き出した。
「単純な奴だ」
誰も見ていないスマホの中で。
悪魔はぽつりと呟く。
「人間はな」
「好きか嫌いかを聞きたがる」
少し間。
「だが本当は」
また来てほしい。
↓
元気でいてほしい。
↓
明日も話したい。
そういう気持ちの方が。
案外近かったりする。
スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。
そして、
いつもより少しだけ、優しかった。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、静かに稼働中。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。
本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/




